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妄想 Paris

2010 年 10 月 9 日 土曜日

※いっこ前の勇輝の投稿、動画を追加してますので
よかったら見てくださいね(音量にご注意)。



・・・。
思い起こせば、
私はネパールでの入院以来、
勇輝なんて大晦日の発熱以来、
私たちの体調は快調である。

 

 

アフリカに入ってからも、
乾燥と灼熱の日差しで干からびそうになったり
寒空のテントで凍えて体をさすりながら寝たり
結構過酷な日々だったとは思うのだけど
なかなかどうして、風邪すらひかないのだった。

最近の勇輝は、
サーフィン不足による胸筋の弱体化を気にし、
いちいち「落ちたと思わない?」とか聞いてくるので
「残念だよ」とか「昔のあなたは素敵だったわ」とか
そのつど適当に答えていたら

 

急に腕立てを始め

そして2日で終わりました。


あれだけ深刻だった私の
10年来の便通問題も、
南インドのアーユルベーダ体験
よるのかよらないのか解決済み。
羞恥心と引き換えに)すっかり真っ当なお通じを
手に入れて久しいわけで。
あんな時代もあったねと
オレ史の教科書を紐解かないと出てこないほど
すっかり過去のものとなっているわけで。
ル~ル~ルルルルル~。

 

ところが。

 

久々に苦しい思いをしました。
まあ大したことないんだけどね、
激痛の胃痛×2回でした。

ちょっと最近、
「どうするオレ?!」
的なトピックがあって
(これについてはいつか書きます)
悩みすぎたせいかなーと思ったんだけど、
そういえば2回とも激痛の5分前に
朝食にとバナナを食べていたことが判明。
勇輝も一緒に食べていたが・・・。
よって診断結果は、
「嫌いなバナナを我慢して食べたことによる胃痛」、
ということになります。
どうでもいいですね。

 

1回目の胃痛時は宿にいたので、
部屋に戻って数時間横になっていたら治りました。
ところが翌日は、バスでの移動中だったんで、
ちょっとした惨事。

 

例によって、シートは極狭、人と荷物でぎゅうぎゅう、揺れはM7レベル、
いろんな臭いと鶏の鳴き声と謎にゴキ○リまでうろうろしている、
そんな車内で、私は悶えておりました。

 

そのときの、お話です。

 


前置き長っ!

 

 

 

えー。
私事ですが、苦しいとき、痛いときは、
妄想の世界に逃げ込むことを常としております。
(さらに辛いときは無の世界に入ります)

 


今回の胃痛も、
さて妄想だ、妄想しかない、と思ったわけです。
でも如何せん、キュウキュウ痛くって
うまくいかないので、
隣に座る勇輝に代わりに妄想をお願いしてみました。

なに?そう言われても困る?

分かったお題を出そう。
今いるマラウイのあとモザンビークでしょ、そのあと
ひとやすみしにパリでしょ、
(え?予算的に無理かも?いや、その話はあとでちゃんとしよう)
そう、パリのことにしよう。
お題「素敵なことIN PARIS」。

 

うん、やってみる、と
勇輝がTRYします。

 

「美味しいワインを飲んで・・・、素敵なホテルに泊まって・・・、
そうだ、おしゃれして街を歩こう。」

げほっ、げほっ。

 

違う違うちがーーう!!!
そんなの妄想でもなんでもなくってよ!
もっと突拍子もなく!いい?妄想なのよ!?
それでいてディテール重視!
ああっ、もうわかった、
私が最初やってあげるからね。いい?

 

「突然、知らない紳士からメールが届きます。
おふたりの頑張りにささやかなプレゼントをしたい。
どうぞたまのご褒美と思って、パリ滞在中に使ってください。
と、口座に100万円が振り込まれているじゃないか!
有難く使うことにして、私はまず、パリ在住スタイリストに
20万円渡すの。そんで一緒に街中を歩いて、
じゃんじゃん買っていくの。
まずは靴ね。コロンビアのスニーカーとか便サンじゃなくて、
革。パンプスと、あとブーツ!
そうね寒いものね、あと綺麗な色のコートね。ああ、いい。コート。
ふわふわした大判のストールもね。そうだ細身のパンツも欲しい!」

 

はぁ、はぁ、
完全にただのお買い物リストになってきたとこで
痛くって目を閉じる私。

 


「じゃあ俺はね、テーラーに行くよ。
石畳の、裏路地の、坂道にある、品のいい爺さんがやってる小さなテーラー。
そこで濃紺の、上質で光沢のある生地で細身のスーツを作る。」

※↑これが勇輝が妄想した一番の出来だったので
ご紹介しました。

 

私の妄想は続きます。

 

「そんで、バッチリおしゃれして、髪型も
ちょうど仕事で来てたウメちゃんがおしゃれに編んでくれて、
メイクもしてくれて、そんで、そんで、
(ナミビアで会った)アネリーナと彼氏のフランソワ、
あとマコと、マヒィ(東京から来る)と、
マヒィの友達のタカちゃんと薫ちゃんと、
ご飯行って夜遊びするの!
めっちゃかっこいい遊び方を教えてもらうわけ。
翌日はね、NYからさよちゃんが来ててね、
一緒におめかししてオーケストラを聴きに行くのよ。
わあーーー!むふふふ」

 

うーん、よい。

 

目を閉じたまま、私はパリの街並みと
そこを歩く私、手に取るもの、口にするもの、
聴こえてくる音楽、あらゆるものを脳内に描いて
うっとりするのだった。
嗚呼、パリ・・・。
ボンソワー。
カシミアの肌触りとバターソースの舌触り。
素敵すぎる・・・。
じゅる・・・。

いいね「妄想PARIS」。使える。
これは毎晩寝る前にさらに考えていこう。

 

勇輝から途中
「結局、お金?」
と嫌~な突っ込みが入るんだけど、
いいのよ!妄想は楽しくなるためにするんだから!
どうせ叶わないから楽しいのよ!
じゃなきゃ宝くじなんて誰も買わないわよ!

 

・・・と、いいつつ、
日々のテント生活と同じ服装(飽きた~!)と
節約のための朝食(バナナかパン&ピーナツバター)と
夕食(1つを二人で分け合って食べる・・・ワビしス・・・)に
若干クサクサしているのやもしれぬ。
と、自分に苦笑。。。
はっ。
「知恵を使って生きる」んじゃなかったっけ、俺。
妄想の世界が俗物根性満載で動揺

お買い物欲求とオシャレ欲求の高さに唖然。
はずかしいいい~!!!
ま、いいか。

開き直った私は、
その後も妄想を続けるのだった。
お買い物をさらにディテールに落とし込んだバージョンと、
南仏ドライブ&オーベルジュステイバージョンがあるんだけど・・・。
聞きたい?いいよね。
くだらないのでこのへんにしておきます。

 

 

というか、そんなことやってたら
また!バスが壊れ
違うバスに移ったりとかすったもんだがあって
席の確保とかゆで卵を買ったりとか
髪を振り乱し人を押しのけ戦ってたら
気づいたら胃は治っていましたとさ。

めでたしめでたし。

 

で結局なんなんだ!?
と。

なんなんでしょう。。。

このところ勇輝の怒涛の投稿が続いたもんで
私からの苦肉のセイハロー、
でしょうか。
今日も美和は元気です!
そうゆうことにします。
かしこ。
(MIWA)

遠くにエベレストが潤んで見えた

2010 年 5 月 11 日 火曜日
長い夢を見ていました。
それはそれは鮮やかな夢でした。
小奇麗なお寿司屋さんのカウンター。私の隣にはロマンスグ
レーの紳士(本間家の父に似ている)、前には熟練という感
じの初老の板さん。他に客はおらず、2人が穏やかな笑顔で
私を見ている。「なんでも、好きなものを食べていいんだよ
」「活きのいいの入ってますよ」私は目を輝かせ、幸せと安
心に包まれた心地になる。頬を紅潮させながら口を開く。「
サーモンと蒸しエビください」私の声がお店の中でゆっくり
とこだました気がした。そしてその声は紳士をぎょっとさせ
、揉み手で待ち構えていた板さんをがっかりさせたようだっ
た。私は焦る。ああ、そうか、それはないな、遠洋から冷凍
で届くサーモンなんて活きを売りにしてるお店に失礼だし、
なんだよ蒸しエビって!ボタンエビですか?車エビですか?
甘エビですか?って女神が聞いてるのにいいえ私のは鉄の斧
ですって言ってるようなもんじゃないか、でも食べたいんだ
、でも食べたいのごめんなさい。程なくして目の前に置かれ
る紅色のそれたち。すごい。シャリよりネタのほうが大きい
!私はなかなか食べられない。紳士と板さんが、微笑みなが
らうなずく。私もうなずき、手でつかむ。まずはサーモンだ
った。半分食べる。もっっちり。甘味が広がる。くう~!残
りの半分を食べる。来た~お帰りこの美味しさ!はたと見る
とまた紳士がぎょっとし板さんが残念そうな顔をしている。
はっ!やってしまった。いつもの食べ方だ。醤油にさらにワ
サビを少量溶き、半分づつ食べる。どっち?どっちにがっか
り?どっちも?分かったワサビはやめますごめんなさい、回
転寿司の癖ですいつもワサビが足りなくて、でも半分ずつっ
てのは許してほしい、ネタ・シャリ・醤油・ワサビが初めて
出会って一つになって口の中でトロけあっていく運命的いや
ある意味事件的瞬間を1粒で2度味わえるのだから。・・・
心の中でそんな弁解をしながら、手はお待ちかねの蒸しエビ
に伸びている。さすが名店(だと思う)、くるくる回転しち
ゃってる店とはモノが違う!この厚み!この輝き!鮮やかな
シマ模様!かじる。ぶりりっっと音がする。これはすごい。
大阪城を突き破って手と足を出し、最上階の部屋の障子があ
いてそこから顔を出し「う・ま・い・ぞー」と叫ぶ、「美味
しんぼ」風のやたらオーバーな感情表現をやりたくなるほど
の感動だ。ここから、映像が途切れ途切れになる。確か「ヒ
カリモノのいいのを」と気の利いた注文をして二人の男性を
ホッとさせ、続けて「白身のおすすめを。あ、こぶじめも1
つ入れてください」と注文してさらに上機嫌にさせ、最後に
「あ、アボカドあります?」と聞いてまたがっかりさせたと
ころで目が覚めた。ベッドの傍らに2人のナースが立ってい
た。注射器を3本と点滴1本を持っている。朝の6時。
私は何をやっているんだろう。希望に胸ふくらませ、成田で
友人たちに手を振り、意気揚々と旅に出たのではなかったか
しら。なぜに腕にぶっとい針刺されて液が漏れてパンパンに
なって痛いのだっけか。
ああそうだった。あれはヤバイと思った。あと5分遅かった
ら、気を失ってたと思う。息が苦しくて手足がビーーンって
痺れて感覚がなくなっていった。心の中でごめんなさいとか
何でもしますと何度も叫び、途中からよく分からなくなって
グルグルした。恐らくなんの根拠もなく勇輝が言った「気を
失っても大丈夫だから」の言葉にイラっとしつつ謎に安心し
ていた。きっと大丈夫だ・・・。病院に着いたときにはタクシー
からも降りられなくて、文字通り担ぎ込まれた。鼻から酸素
入れられても全然苦しいのが収まらなくて焦って、しばらく
して口から息してるからじゃんと分かって、鼻で深呼吸した
ら楽になって眠ってしまった。昔から胃腸が弱くて、急性胃
腸炎で救急車に乗ったこともあったから、お腹の痛みに耐え
ることには自信があった。でも今回のはそれはすごくて、も
しかして私、陣痛、平気かも?と思うほどで、急に熱も出た
から、ショック状態に陥ってしもうたんだと思う。タクシー
があって本当によかった。私の中の悪い奴も、少しは人の情
けがあるのかもしれない。ストが終わるまで待っててくれた
んだから。さんきゅ。でももう行っていいよ。
注射と血圧、体温の検査が終わり、新しい点滴をつけてナー
スが出ていく。経過は良好だそう。小さなベッドに寝ていた
勇輝に、さっそく夢でみた寿司の素晴らしい感触について話
す。反応がイマイチな勇輝に、「私はね、退院したら寿司を
たらふく食べようと思うよ!」と言い放ってまた寝る。夢に
出てこなかったネタを思い浮かべてニヤニヤしながら。ホタ
テ・・・ウニ・・・イカ・・・ネギトロ・・・あ、中トロ・・・きゃー・・・む
にゃむにゃ
また起こされる。あ!ドクターだ!待ってました。体格がし
っかりしていて、思わずママ!と抱きつきたくなる彼女がマ
イドクター。携帯が鳴って画面チラ見したらイケメンの顔。
息子?さては彼氏だな?無関心を装いポケットにしまう彼女
。ハハンあとでかけ直すつもりだな。「よさそうね。今日退
院ね」やた!!今後のために、勇輝が詳しく原因を聞く。早
く次行かないとというオーラを全身から出し早口で話す彼女
には、萎縮して私は一言もしゃべれない。勇輝とドクターが
話している。全然分からないが端々に「ワーム」と聞こえド
キリとする。ドクターが書類の裏に絵を描き出した。
卵    →   さなぎ  →  成虫アミーバ
(まるい) (ぐにゃぐにゃ)  (ぐにゃぐにゃ)
なんのこっちゃ。絵下手!(ああなぜ写真に撮らなかったの
だろう)。要は、いつか分からんけどアミーバの卵が腸内に
潜伏してて、孵化して大暴れ、だったらしい。薬はさなぎに
は効かないから、あと1週間くらい、成虫に効くやつを飲み
続けて退治しないとならん、らしい。回虫フェチのメグの顔
が浮かぶ。ああそうさ、虫がいたさ俺の中に。笑ってくれや
い。痩せたとか調子に乗ってたけど体内に虫がいっぱいいた
せいだったとさ。惨め。最後に私からの必死の目くばせで、
勇輝が質問。「生魚とか・・・」「NO.」ぴしゃり。ですよね。
夢破れて山河あり。遠くにエベレストが潤んで見える(見え
ないけど)。
かくして、めでたく退院。日本料理屋「桃太郎」でメニュー
のサーモン寿司、のとなりにあったうどんを食べ、ホテルへ
帰る。「念のため」バンコク行きのチケットをこっそりチェ
ックしつつ、義理姉キリちゃんのブログで母の日だったと気
づき、スカイプで私の実家へかけると母が出た。「美和だよ
ー。」「あー美和ちゃん?」「どもー勇輝ですー。」「キャ
ー!勇輝ぃ!!」なんでやねん。母は入院の話を聞くとでか
い声で「なんか拾って食べたんでしょー!!」笑い声。そう
、私の母はこうでなくちゃ。でも知ってる。胸が張り裂けん
ばかりに母は私たちの無事を朝な夕なに祈っていることを。
心配かけちゃいけんな。健康で、笑顔で帰らなくては。
病室に置かれていた赤いリュックサックには、勇輝が考えた
入院に必要なものが詰まっていた。それは、私なら入れない
余計なものがあったり(醤油は役立ったけど)、私なら入れ
るものが抜けてたりして何ともどうしたもんか「苦笑」、だ
ったのだが、一生懸命小さなリュックに詰めている姿を想像
したら、謎にちょっと泣けた。2日間ただ病室にいてくれた
、今思えばそれだけでどれだけありがたかったか。心からそ
う思えば思うほど、ありがとうが詰まって出てこなかった。
(MIWA)
長い夢を見ていた。
それはそれは鮮やかな夢だった。

小奇麗なお寿司屋さんのカウンター。
私の隣にはロマンスグレーの紳士(本間家の父に似ている)、
前には熟練という感じの初老の板さん。
他に客はおらず、2人が穏やかな笑顔で私を見ている。
「なんでも、好きなものを食べていいんだよ」
「活きのいいの入ってますよ」
私は目を輝かせ、幸せと安心に包まれた心地になる。
頬を紅潮させながら口を開く。
「サーモンと蒸しエビください」
私の声が店内にゆっくりとこだました気がした。
そしてその声は紳士をぎょっとさせ、揉み手で待ち構えていた板さんをがっかりさせたようだった。
私は焦る。ああ、そうか、それはないな、
遠洋から冷凍で届くサーモンなんて活きを売りにしてるお店に失礼だし、
だいたいなんだよ蒸しエビって!
ボタンエビですか?車エビですか?甘エビですか?って女神が聞いてるのに
いいえ私のは鉄の斧ですって言ってるようなもんじゃないか、
でも食べたいんだ、でも食べたいのごめんなさい。
程なくして目の前にふわりと置かれる紅色のそれたち。
すごい。シャリよりネタのほうが大きい!私はなかなか食べられない。
紳士と板さんが、微笑みながらうなずく。私もうなずき、手でつかむ。
まずはサーモンだった。半分食べる。もっっちり。甘味が広がる。くう~!
残りの半分を食べる。来た~お帰りこの美味しさ!
はたと見るとまた紳士が驚き、板さんが残念な顔をしている。
はっ!やってしまった。いつもの食べ方だ。
醤油にさらにワサビを少量溶き、寿司を半分づつ食べるという。
どっち?どっちにがっかり?どっちも?
分かったワサビはやめますごめんなさい、回転寿司の癖ですいつもワサビが足りなくて、
でも半分ずつってのは許してほしい、
ネタ・シャリ・醤油・ワサビが初めて出会って一つになって口の中でトロけあっていく
運命的いやある意味事件的瞬間を1粒で2度味わえるのだから。
・・・心の中でそんな弁解をしながら、手はお待ちかねの蒸しエビに伸びている。
さすが名店(だと思う)、寿司があられもなくクルクル回されちゃってる店とはモノが違う。
この厚み!この輝き!鮮やかなシマ模様!
かじる。ぶりりっっと音がする。これはすごい。
大阪城を突き破って手と足を出し、最上階の部屋の障子があいて
そこから顔を出し「う・ま・い・ぞー」と叫ぶ、
「美味しんぼ」風の意味不明かつやたらオーバーな感情表現をやりたくなるほどの感動だ。
ここから、映像が途切れ途切れになる。
確か「ヒカリモノのいいのを」と気の利いた注文をして二人の男性をホッとさせ、
続けて「白身のおすすめを。あ、こぶじめもいいな」と分かってる発言でさらに上機嫌にさせ、
最後に「アボカドあります?」と聞いてまたがっかりさせたところで目が覚めた。
ベッドの傍らに2人のナースが立っていた。
注射器を3本と点滴1本を持っている。
朝の6時。

私は何をやっているんだろう。
希望に胸ふくらませ、成田で友人たちに手を振り、
意気揚々と旅に出たのではなかったかしら。
なぜに腕にぶっとい針刺されて液が漏れてパンパンになって痛いのだっけか。

ああそうだった。
あれはヤバイと思った。あと5分遅かったら、気を失ってたと思う。
息が苦しくて手足がビーーンって痺れて感覚がなくなっていった。
心の中でごめんなさいとか何でもしますと何度も叫び、
途中からよく分からなくなってグルグルした。
恐らくなんの根拠もなく勇輝が言った「気を失っても大丈夫だから」
の言葉に謎に安心していた。きっと大丈夫だ・・・。
病院に着いたときにはタクシーからも降りられなくて、文字通り担ぎ込まれた。
鼻から酸素入れられても全然苦しいのが収まらなくて焦って、しばらくして
口から息してるからじゃんと分かって、鼻で深呼吸したら楽になって眠ってしまった。
昔から胃腸が弱くて、急性胃腸炎で救急車に乗ったこともあったから、
お腹の痛みに耐えることには自信があった。
でも今回のはそれはすごくて、もしかして私、陣痛、平気かも?と思うほどで、
急に高熱も出たから、ショック状態に陥ってしもうたんだと思う。
無機質なERの担架ベッドでうっすら目が覚めて、
涙がポロポロ止まらなくなった。
もう大丈夫という安心と、怖かったよってのと、あといろいろ。
今日はバンダが明けた日で、キム君滞在最終日で、
3人でいっぱい買物して美味しいものたくさん食べようって楽しみに寝たのに。
ブッダガヤでもデリーでも高熱が出たけど
何度も服を代えたりバケツにお湯入れて足をつけたりタオルを首に巻いたり
黙々と立ち向かって1日で治してきたのに、
下痢とも闘ってきたのに、結局こんな形で倒れるなんて。
もしかしたら身体はずっと「もうダミだよ」とアピールしてたのかもしれないのに。
薬も飲まないし裸で寝るし食べる前の手の消毒もしないし
まったく無頓着な勇輝があまりに心配で
もっと身体の声を聞かないとダメだよ、と叱ったこともあったのに。
バカだな私。
勇輝が眉毛をハの字にして困り笑いしながら涙をふいてくれた。
ああでもタクシーがあって本当によかった。
絶対ここまで歩けなかった。
私の中の悪い奴も、少しは人の情けがあるのかもしれない。
ストが終わるまで待っててくれたんだから。
あ、違うかな、誰かの強い思いに守られたのかな。
誰だか分からないけど、ありがとう。

注射と血圧、体温の検査が終わる。
新しい点滴をつけてナースが出ていった。
経過は良好だそう。
小さなベッドに寝ていた勇輝を起こし、
さっそく夢でみた寿司の素晴らしい感触について話す。
反応がイマイチな勇輝に、「私はね、退院したら寿司をたらふく食べようと思うよ!」
と言い放ってまた寝る。夢に出てこなかったネタを思い浮かべてニヤニヤしながら。
ホタテ・・・ウニ・・・イカ・・・ネギトロ・・・あ、中トロ・・・きゃー・・・
むにゃむにゃ

また起こされる。
あ!ドクターだ!待ってました。
体格がしっかりしていて、思わずママン!と抱きつきたくなる彼女がマイドクター。
携帯が鳴って画面チラ見したらイケメンの顔。息子?さては彼氏だな?
無関心を装いポケットにしまう彼女。ハハンあとでかけ直すつもりだな。
「よさそうね。今日退院ね」 やた!!
今後のために、勇輝が詳しく原因を聞く。
早く次行かないとというオーラを全身から出し早口で話す彼女には、
萎縮して私は一言もしゃべれない。
勇輝とドクターが話している。全然分からないが端々に「ワーム」と聞こえドキリとする。
ドクターが書類の裏に絵を描き出した。私は身を乗り出す。

 

 

卵    →   さなぎ  →  成虫アミーバ
(まるい)   (ぐにゃぐにゃ)   (ぐにゃぐにゃ)

なんのこっちゃ。絵下手!
(ああなぜ写真に撮らなかったのだろう)。
要は、いつか分からんけどアミーバの卵が腸内に潜伏してて、孵化して大暴れ、だったらしい。
薬はさなぎには効かないから、あと1週間くらい、さなぎが全部成虫になるまで
薬を飲み続けて退治しないとならん、らしい。
回虫フェチのメグの顔が浮かぶ。ああそうさ、虫がいたさ俺の中に。笑ってくれやい。
痩せたとか調子に乗ってたけど体内に虫がいっぱいいたせいだったとさ。惨め。

最後に私からの必死の目くばせで、勇輝が質問。
「生魚とか・・・」 「NO.」
ですよね。ちゃんちゃん。
夢破れて山河あり。遠くにエベレストが潤んで見える(見えないけど)。

かくして、めでたく退院。
日本料理屋「桃太郎」でメニューのサーモン寿司、のとなりにあったうどんを食べ、ホテルへ帰る。
念のためバンコク行きのチケットをこっそりチェック、しようと思ったけどやめて、
義理姉キリちゃんのブログで母の日だったと気づき、
スカイプで私の実家へかけると母が出た。
「美和だよー。」「あー美和ちゃん?」
「どもー勇輝ですー。」「キャー!勇輝!勇輝ぃー!」
なんでやねん。(※母は勇輝ラヴである)
入院の話を聞くとでかい声で「なんか拾って食べたんでしょー!!」笑い声。
そう、私の母はこうでなくちゃ。
でも知ってる。
胸が張り裂けんばかりに母は私たちの無事を朝な夕なに祈っていることを。
心配かけちゃいけんな。健康で、笑顔で帰らなくては。

病室に置かれていた赤いリュックサックには、
勇輝が考えた入院に必要なものが詰まっていた。
それは、私なら入れない余計なものがあったり(醤油は役立ったけど)、
私なら入れるものが抜けてたりして何ともどうしたもんか「苦笑」、だったのだが、
一生懸命小さなリュックに詰めている姿を想像したら、謎に泣けた。
2日間ただ病室にいてくれた、今思えばそれだけでどれだけありがたかったか、
心からそう思えば思うほど、ありがとうが詰まって出てこなかった。

私は、認めなくてはならない。
東京で生まれ育ち、洗練されオーガナイズされた美しい都市で
安全、安心の中で生きてきたこと、そしてその場所を愛していることを。
他の国にある混沌と人間の生のエネルギーに感嘆し、
豊かになりすぎて大事なものを失くしてしまっていると東京を憂いたりしたけど
私は、私はどうしようもなく東京が好きで恋しくて
今すぐにも帰りたい。
そして、私は、弱い。
絶対に言いたくなかった、でもこれを認めてしまわなくては。

 

そこからもう一度、
私の旅を始めなくては。

 

(MIWA)

デリーに「癒し」はあるのか

2010 年 4 月 26 日 月曜日

お久しぶりです。

ご察しの通り、不覚にも、かなり弱っております本間美和です。
今なら、スライムでも快心の一撃が出れば倒せるでしょう。

ブッタガヤから疲れが想像以上にたまっていたのでしょうか。
なのにハリドワールでもみくちゃになり目がばってんになり
暑さと臭さと全裸の男たちと完全ベジの食事・・・とにかく
沸点だか凝固点だか何かの限界値を越えてしまったようです。

このような人間の選択肢は3つ。
①即帰国 (自国へ逃げ込む)
②思考停止 (無の境地へ逃げ込む)
③薬物方面 (夢の世界へ逃げ込む)

無論、私がやむをえず取ったのは②でした。

(↓ ただいま「無」中です。脳内になにもありません ↓) ひどい顔です。
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デリーへ出発せんとする列車の中。
のん気な勇輝はインド人のおっさんと仲良く爆睡。
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なにが起ころうと私は引き続き思考停止。
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窓からの眺めも、もはや森山大道風にしか目に映りません。
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もうすぐデリー、という夜10時頃。
見かねた勇輝 が私を励まそうとします。
向かいにインド人夫婦が寝てるのでヒソヒソ声。
「ねえもしかしたらデリーって、バキバキかもしれないよ」
「バキバキってバンコクのバキバキ?」
「そう。だって首都なんだよ。駐在者もいっぱいいるんだよ」
「あ、そっかーーーーー!!!!」
単純な私(たち。※勇輝も相当アガっている)。
早速ロンプラ(ロンリープラネットです)を読み直します。
外国人旅行者が多く安宿と各国の料理のレストランがあるパハルガンジエリア、
一番の中心でホットなエリア・コンノートプレイス、
名だたる一流ホテル、高級レストラン、日本食レストラン・・・
ああ、私、助かるかもしれない・・・
インド嫌いにならずに済むかもしれない・・・・
宿は、絶対AC(エアコンのことをこう言う)つきにしよう。ね、ね。
デリー滞在のテーマは「癒し」にしよう。
そうだそうだ!
いいぞ。

到着。
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ん?

デリーだよね?ハリドワールではなく。
電車一周しちゃってないよね?

ま、いいや駅だもん。
そんな、
私の視界に飛び込んできたもの!!!!
駅の中に!
希望の光!ゴールデンアーチ!!!
CIMG1010_rs
(※資料写真。渋谷宮益坂店)

キターーー!助かったーーー!!!!

・・・約20分後。
あえてその感情に名前をつけるとしたら
絶望、だと思います。
夜12時だとは言え、マックでしょ?デリーでしょ?なぜ入れたコーラを放置?そのポテトいつからそこにあった?なぜポテトをもう一度そこに戻してかきまぜる?なぜそこで次の接客に入る?なぜ1人しか働かず3人遊んでいる?なぜに?なぜに?

いや、ほかのことはいいや。
とくに、私のマックポテトへの
並々ならぬ思い入れがいけないのでしょう。
愛しすぎるから、傷つくのです。
ブッタガヤのアジャイさんの言葉が響きます。
「期待しない。期待するからおかしくなる」
わかってる。わかってるよぅ。
変な茶色で、硬く、まずかったポテト。
日本のように言えば取り替えてくれる、わけもなかった。
深夜デリーのマックで不覚にも涙がこぼれそうな女が一人。
無垢な勇輝に動揺を与えまいと(いや、こんなくだらない理由が恥ずかしく)
必死で堪えた。(が時すでに遅し。)

わなわなしながら駅を出てオートリクシャに乗る。
絶望その2。
勝手に(本当に勝手だ)妄想した
バキバキデリーは、そこにはなかった。
P4187428_rs
すごい埃に、布で鼻と口を押さえながら
心の中で叫びます。
「だーーーよーーーねーーーーーー」
(懐かしのヒットナンバー「DA.YO.NE」より)

ここからは私の味わった数々の絶望と
「癒し」を求めデリー中を彷徨った軌跡を
ダイジェストでお届けします。
本当にくだらないです。
褒めてくれたSUちゃんに申し訳ないんだけど
バラナシでのせっかくのボリューム調整も台無しです。
ただいま「自分が自分が」大音量ウーハーつきです。

※分かりやすいように、新しい単位で表記します。
癒しを表す単位として、
実家でごろごろしオナラでもしながら母のご飯を待っているひとときを「1ジッカ」、
絶望を表す単位として、
カルボナーラにコショウを慎重に入れてたら蓋が取れて全部入った瞬間を「1カルボ」
とします。 ちなみにデリー駅ポテトは3・5カルボでした。

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1泊950ルピー、約2000円も払って入った宿。
埃っぽいACと微弱なワイファイつき。
0・3ジッカ。
デリーに詳しいカズマにタスケテメールを書く。すぐ返事が。
「デリーで癒し?無謀だな・・・・。」

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旅行者の都、パハルガンジエリアの風景。2カルボ。


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エアコンの効いた近代的メトロ。0・05ジッカ。


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尚も続けた、よりよい宿探し。ぜーんぜんいいとこがない!
↑ロンプラでなかなかの評価だった宿。すっごく歩いて探したのに。
すえた臭いと廊下にガネーシャ。
ありえない。
5カルボ。

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奮発し、様々な受賞暦を誇る高級レストラン「スワガット」へ。
キンキンのビール!料理もうまし!
さすがにウキウキ奥様。
しかし30分後、冷房が寒すぎてヒサンな状況に。
のちにふたりとも風邪をひく。
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すげーがっかり。(※単位やっぱ分かりにくいのでやめます)

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ポリスなのにこんな雑。

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一番のホットな中心、のはずが・・・。
まさかのコンノートプレイス。
絶句。

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行きたくないとリキシャ運転手に断わられ、
大きな立体交差を歩いて渡る。(歩いてるのは私たちだけ)
空気が悪すぎて真っ白な夕日。
(1Q84に来ちゃったかと真剣にドキドキした)
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完全にのどをやられ夫がオカマみたいな声になるという絶望感まで・・・
どんだけ!

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ちょっといいムードのルーフトップレストラン。
こっそり無免許でビールも出る。
が、出てきたのはBYポット&ティーカップ…!!!
ずずーとビールをすする。ぬるい。
NO!無理!堪忍ならん!
クリケット中継に夢中でまったく動かない店員たち。
うきーーーーーーーーーーー!!!!!
さすがの勇輝も「ごめんちょっと話しかけないで」みたいになっている。
どうした?泣いているのかい?(泣いてはいない)

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帰り道・・・。突如始まった工事で
道がエキサイティングなことに。ハァ・・・・・・・・・・


ピピーーーーーーーー!
宿、
チェーーーーーンジ!

1泊2200ルピー(約4500円。これまで身につけたあらゆる
技と演技力を駆使し約半額に値切った値段)、
パハルガンジエリア最高級、「ル・ロワ」である。
どこにもフランスの香りはしないが、近代的!きゃー!
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無料のネットがサクサクでゴキゲンな旦那様。
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きれいなシーツが嬉しくて、繕い物なんかしちゃうルンルン奥様。
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きゃあきゃあ、きれい!しかも朝食つきなのよ!

そういうわけで、ジッカまではいきませんが、
まあ、癒されました。命だけは助かりました。
なにがあってもここから出ません。
人間、無理は禁物です。
心の余裕と平和が大切です。

なんか話がぐっだぐだになっちゃったけど、
総論としては、
「デリーに癒しはあるのか?」の問いの答えは
「まあ、ない。」
だと思いました。

最後に、カズマが教えてくれたスポットの中で、
彼一番のお気に入りだという、オールドデリーのモスク、
「ジャマー・マスジド」に行った思い出でお別れします。

荘厳で美しい建築。
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そこで待っていた屈辱。
入り口でおっさんに「これを着ろ」と。
なんで?くるぶしまでのアリババズボンだし、ちゃんと半そでシャツだし!
「女性はシャツがひざまでないとダメだ」
なにそれ!民族衣装限定じゃん!そうじゃない人だっているじゃん!
(・・・・・・いない。)
じゃあロンギをすっぽり体に巻くから!
「ダメだ」
ヤダヤダーーーー!
勝手に着せられる。ダボダボのナイロンの合羽みたいなもの。
着たほうがむしろ神様に失礼じゃないの?という。
埃っぽいし何この柄ー!もう33歳なのー!
ジタバタ抵抗してるうちに完成した、
THE・屈辱ルック。

こんなとき人間の反応は3つ。

①「・・・。」となる
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②心が邪悪&オラオラになる
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「あに見てんだよ」「クスクス笑ってんじゃねーよ」
「着せられたの!自分のじゃないの!」


③やけっぱちになる

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「へいへーい!やっほー!ヒューヒュー!」


この屈辱を分かち合おうと外国人女性を探したが、
こんな時に限って、1人もいなかった。
勇輝はずっとゲラゲラ笑っていた。
さてはカズマの仕掛けた罠だったか。
この屈辱、忘れまじ・・・。

おお怖っ!
心に余裕がないって嫌ねえー。
ひどい被害妄想。
つねに戦闘体制。
全員が敵になる。


大丈夫です。
今では素敵な思い出の1ページです。

おしまい
(MIWA)