久々に帰国した僕が真っ先に向かった先。
それは寿司屋でも蕎麦屋でも、美味い鍋を食わせる店でもなかく、
黄色い看板が目印の、あの、あの系列店だった。
世界を旅してきて、
日本食がいかに高いステータスにあるのかも、
日本人がいかに繊細な食感覚を持っているかも、
日本人のつくる食がいかに優れているかも、
それなりに感じてきたつもりだ。
その上で断言したい。
世界に誇る日本の食は、SUSHIやSUKIYAKI、TENPURAだけではない、と。
それどころか、唯一無二、他の追随を許さない究極の食文化があるのだと。
その思いを確認するかのごとく、僕はその地へ急いだ。
「帰国して最初のアレは、是非ボクにおごらせてください」
なんとも粋な誘いをしてくれたファンキーな男の言葉が脳裏をかすめたが、
やはり「神田駅。次のアポまであと2時間フリー。」
この状況下で僕を止めることはできなかったと説明しておこう。
そう、向かったのは数ある系列店の中でも
比較的ジェントルな立ち位置にある、神田店。
あの特徴的な暴力性はこの店では見られないが、
縁あって通っている店のひとつだ。
駅から続くネオンの光にノスタルジーを感じることなく、
頭の中は脂ギトギト、小躍りしながら歩を進めた。
2年ぶりの動揺を外に見せることなく入店、
食券購入から着座までを我ながらあざやかにこなすことができた。
幸いにもカウンター一番奥のいつもの席が空いているという歓迎を受ける。
上を見ると10年ほど前に貼った名刺はまだ顕在だ。
うん、なかなかいい色に仕上がってきてるじゃないか。
(中央下のちょっと左、横名刺なのに縦になっちゃってる奴)
いつもの通り小豚を注文、記憶よりやや早い
「トッピングはぁ?」ぶっきらぼうな問いかけにひるむ事無く
常連顔で野菜増しをソツ無く伝えた。
野菜をWにしたりニンイクおよび脂を増していた時期はもう卒業しているのだ。
大将は10年前と変わらないあの人だった。
やたら仲がよかったあのパートナーの姿は無いのが気になったが、
それより「写真よいですか?」以前なら決して口にできなかった
この言葉を軽々と言えたことが、この2年の1番の変化かもしれないと感じた(嘘)。
この変化は何を意味するのか、僕には整理に時間が必要な気がする。
そして3分後。
やつは、やってきた。
あざやかに散りばめられた脂の美しいまだら模様にうっとりしつつ、
飛び道具の白い粉を十分に感じさせる塩辛いスープに渇を入れられ現実に戻る。
チャーシューの質は正直落ちていた気もするが、
このもっさりした麺、大量の七味投入にも全く負けないマイルドな脂の甘み、
そして中和剤としてのもやしの奏でるハーモニー、、、、、
これだ!これこそが僕の求めていた、外国人の知らない日本の誇る芸術なのだ!!
そうだ、やっと、戻ってきたのだ。
その時僕は改めて帰国を実感するとともに、
とめどない感動に包まれたのだった。
以上の通り、無事に日本に帰国いたしました。
帰るまでが遠足という名言もありますが、正真正銘、旅の終わりです。
今まで応援して頂いた方々、心配して頂いた方々、本当にありがとうございます。
ブログはまだメキシコ。まだまだ書いていきますので、
引き続きお付き合い頂ければ幸いでございます。
これからもどうぞ宜しくお願いいたします。
注:
万が一ご存知の無い方へ。こちら、ラーメンではございません。
二郎という食べ物、もしくはスポーツとなりますので、今一度ご確認をお願い申し上げます。