ムンバイステイのハイライトとなったスラム観光。
案内してくれたのはそのスラムに住む22歳の青年、
Gfran Ahmed(グフラン アフメド)。
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16歳で地元アラハバードを離れたグフラムは
デリーやカルカッタより「稼げる」ムンバイに移り住んだ。
車を2年ローンで購入、以来6年間タクシードライバーとして働いている。
収入は日によってまちまちで500~2000ルピー、
1ヶ月でならすと約600USドルとのこと。
収入の一部はアラハバードの5人の兄弟と両親に送っている。
まだ弟は幼く一家の生活を支える大黒柱だ。

前日知り合い飲みに行ったマイクの紹介で知り合ったグフラム、
ムンバイ最終日を彼の貸切タクシー観光に任せることにした。
いくつかお決まりのコースを提示されるが
スラムを希望すると彼の住むスラムを紹介してもうらうことに。

街の中心地COLABAの南端にあるバス停に車を停めると
すぐに10人ほどの少年/青年達が集まってきた。
みんな同じスラムに住む仲間達とのこと。
仲間達に僕らを紹介しスラムの隅々までガイドするグフラム
「俺がみんなに言って聞かせてるから絶対安心だから」
何度も繰り返し言う姿はどこか誇らしげに見えた。

時間の経過とともにリラックスする我々3人。
タクシー内でスキあらば音楽をかけ歌いだすグフラム
(サウンドシステムは後付けの中々のものだった)
彼女のことや将来のことを聞き出す僕ら。

「彼女は同じスラムに住む19歳のコだよ。
ただし僕はムスリムで彼女はヒンディー、
だから親には内緒にしているんだ」

宗教を超えた恋もここムンバイではありなんだろうか。
ちなみにデートは普通に映画を見たりするらしい。

ただ今の生活は「早く終えたい」という。

「数年、もしかしたら5年10年かかる
かもしれないけれどこの仕事を辞めたいんだ。
タクシードライバーはリスペクトされてないからね。」

「将来できればハイパフォーマンスカー
(ポルシェやロールスロイスなどの高級車の事のよう。
知らない車の名前をいくつかあげてたが相当の車好きと見た)
の仕事をしたい。日本やヨーロッパでもビジネスしたい。」

街中のタクシードライバーで彼ほど若い人を見たことがない、
おそらく若者がつく仕事ではないのだろうか。
それでもタクシーを運転し将来ディーラーを夢見るグフラム、
5日間のムンバイステイで何人かの青年と触れ合ったが
端正な顔つきや清潔感のある刈り上げヘアスタイルのせいだろうか。、
中でも彼はとても輝いて見えた。

カオスな街でスラムに住み、仲間と笑い、
殺人的交通量の中毎日タクシーを運転し家族を支える22歳。
常に何かと楽しませよう役立とうとしてくれる姿勢
(最後ゴア行きバスに乗り遅れそうになった際
焦りながら電話をかけ車を飛ばした姿は印象的だった)
は献身的というかなんというか。
僕らのような観光客なんて毎日相手しているだろうに。

もう1つ。

彼がよくつかった言葉「responsible」。
スラム内での安全についても「i`m responsible for your safty」
バスに遅れそうになった時は「it`s my responsibility」
「because my respectful brother Mike introduced you」。
契約書なんてなくても紹介された責任を果たし
信頼を大切にする姿勢が彼らの世界にあるような感じを受けた。

彼が一般的なムンバイ青年のサンプルかは分からない。
ただSlumdog Millionairによると「世界一の街」を
サバイブし未来に目を輝かせる彼からインドの力を
感じ取ったことは間違いない。
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