マラウイ滞在もあと2日となった
午後2時。

パムーズィロッジのバーエリアに
見慣れた顔が揃っていた。
コチェ小学校の先生たちの送別会だ。

今日の主役は、別の学校に行くことに決まった
エスメとケニース。
知らなかった・・・。
3日間フェスで一緒に過ごした2人だった。



立派な機材を調整している。
え?マイクあんの?本格的!
ってゆうか声、充分聞こえると思うけど・・・。
(と思ったのは間違いだった。爆音で音楽がかかりだす。
ああ、むしろこのために必要なのね、機材。)

中堅のラスティーナが司会だった。
マラウイ式の送別会。なんかそれっぽいじゃん。
日本とおんなじ感じだなーと思い見ていた。

ラベッカを含む新人教師が飲み物を運ぶ。
(ビールはなく、コーラかファンタだったけど。)

校長ジョンからはなむけの言葉があったあと、
まずエスメへのプレゼント贈呈。
これはちょっと日本の先生たちはやらなそうなスタイルだった。

渡す人ともらう人が向かい合って立ち、
ふたりとも曲に合わせて踊る。
踊りながら贈る方の人が少しづつ歩み寄っていく。
たどりついて渡してぎゅうっとHUG!
爆笑してしまった。
プレゼントは、女性が腰に巻くチテンジって布。
と鍋。すげえ。


コチェスクールに20年居たというエスメは、
人望が厚かったのだろう。
気持ちのこもったスピーチでは、会場の多くが目を潤ませていた。


次の学校では校長先生になるんだって。すごいな、頑張って。


関係ないけど、赤ちゃんを連れてきてたクリスィー先生。
人のスピーチの最中におもむろに乳を出して授乳してたのを目撃!
はうーーーー。


続いてケニース。
色男キャラ・ケニースは、奥様が多い先生たちの中で
人気の先生だったようだ。
プレゼント贈呈のときは、HUGの奪い合い競争があり、
スピーチでは、マダムたちをキャーキャー言わせながら爆笑を取っていた。


いろんな人たちからのスピーチで
やたらYUKI&MIWAって名前出して感謝や送別の念を述べていただく。

いやいや今日は先生たちが主役なんで・・・。
なんだか申し訳なくて、ちっちゃくなってたんだけど、

「はい、ではプレゼント贈呈です」
ん?もうケニースもエスメももらったけど・・・?
「YUKI、MIWA、立って立って!」
えーー???なんで??私たち???!!!
「なに言ってんの!今日は、ふたりも送別会の主役なのよ!」
えええーー!そうだったの???
訳分からないまま立ち、
曲に合わせて踊る。先生たちが笑う。
フェリックスがマイクで一言いい、
曲がバラードになって、
前からスクールコミッティの面々が
右に左にステップを踏みながら
ゆっくりゆっくり近づいてきた。
私たちを見てほほえんでいる。
会場も皆ほほえんでいる。
曲に合わせて歌う声。
リョリョリョーーというマラウイ式の歓声。


今起こってることが信じられない。
最高に幸せな瞬間だった。


受け取って、HUGして、あけたら、
かっこいい柄のチテンジだった。
「マラウィカルチャーをいつまでも覚えていて」と。

ミリアムにぐるぐる巻かれ、一同大笑い。

 

ありがとう。みんな。




踊ったり写真を撮ったりしながら、時間は過ぎていった。

とっても愛しい時間だった。


新人もベテランも関係なく、踊る、踊る)


(見詰め合うジョンと勇輝。愛が見える・・・ブルっ)


(私の大好きな大好きなメルシー。前世は家族だったかも。えにしを感じるのだ)

スピーチの中で、握手しながら、別れぎわに、
あらゆる人から、言われた言葉。
「また来てね」でも「連絡してね」でも
まして「また寄付・・お願いね」でもなかった。

「Don’t forget us」。

それは聞くたびに私たちの心を

ぎゅっとさせた。
親しみと温もりの込もった、
でもけなげで、切ない、
いつも陽気な彼らに似合わない言葉、だった。

忘れないよ。

忘れるもんか。

日が暮れて、宴は終わった。



最終日。
勇輝は、一日ジョンと過ごしていた。

ピックアップトラックの荷台に乗り、
ジョンと会計担当ミリアムとともにマンゴチシティへ。

日本からの寄付分のお金を、学校の口座に振り込み完了。



あと、「KOCHEスクールが昨日の新聞に載ていた!?」
という情報を元に図書館のようなところに言って新聞を確認。
あった!Lake of Starsに関する記事。

内容の半分は、今年はビジネス出店もはじめた、というニュースと
出店した企業の名前の羅列だった。
そしてあと約半分のスペースを割いて、
コチェスクールのプロジェクトを紹介してくれていた。
マラウイ最大の全国紙に、学校の名前が出て、
エスメのコメントが名前入りで使われた。
スゴイことだ!と二人でハイタッチ。
(ただ、児童数にミスが。2200人なのに200人になってた。がくっ!)


その後何故かジョンの親友である実業家を紹介され、

しばし運送業に関して(日本からの不用品をアフリカに送るなら?等)
の話で盛り上がったり。

一緒に過ごした約半日。

ジョンは派手なコミュニケーションをする人じゃないけど
勇輝はとにかくひしひしとLOVEを感たのだと
幸せそうに(でもヘトヘトになって)帰ってきた。

あと、夕飯に招待されたよと。

夜。
学校の敷地内になるジョンの家へ歩く。

懐中電灯がなくて、しかも町じゅうが停電だったんだけど
大きな月がすんごく明るい夜で
木の陰ができるほどで
私たちの足元をちゃんと照らしてくれた。

 

ランプの灯りの中、シマの食事をいただきながら、
ゆっくり、いろんな話をする。

びっくりした。

ジョンも、フェリックスも、先生たちも、
そんなに売れると期待してなかった、らしい。
こんなお粗末なものが
たくさんの人に買ってもらえるもんかねと。
だから、びっくりしたと。
だから、めっちゃ嬉しかったと。
だから、すごい自信になったと。

えーー?マジでぇーー?
なんだよーーう。私たち滑稽まるだしじゃん!
でも、それで、あんなに一生懸命やってくれたの?!
素直というか、なんというか・・・。



そのあと、もうすぐ小学校の教師になるという息子さんに折鶴を教えたりして、
「ああーこれ学校で授業やってほしかったよ!」とジョンに言われて
「あちゃー!」と皆で笑ったりして、
最後は学校のはずれまで送ってもらった。


日本のミスター&ミセスキムラ、ミスター&ミセスイイジマに
どうかどうか宜しくとサンキューと伝えてと、
強く強く念を押され、手を振って、別れた。


まだ月は明るかった。

ジョンが何度となく言った言葉
「This is just biginning」
が、誇らしく、頼もしく、心に響いていた。




学校を救ったなんて程遠い。
彼らを変えられた、なんてとんでもない。
でもやってみたことで、お金が作り出せた。
だけじゃなく
先生たちが受けた刺激、新しい繋がりが生まれた。
小さなHOPEも生まれた。と思う。

それと・・・


セレモニーでのみんなの顔。歓声と拍手。
送別会に私たちの席があったこと。
先生たちがお金を出し合って私たちに贈り物を選んでくれたこと。
ジョンが今回のお金で建物を建てようと躍起になっている、
その理由が、そこにどうしても私たちの名前を入れたいからだったこと。
「寄付をする先進日本人。助けてもらうマラウイ人。」
そういう関係ではなく、仲間として受け入れられたこと。
教え教わり、いろんなものシェアして、忘れられない思い出ができたこと。


・・・

最初に10万円でもポンと
渡せていたとしても、はたしてこうなっただろうか。



私は・・・、
うじうじ悩みすぎたのかもしれない。



今回、私たちをこんなに頑張らせ、
そしてこんなに苦しませたのは、
「お金」だった。


これまでやってきたプロジェクトは、
すべて初めての経験ではあったけれど
単純寄付への抵抗ふくめ、自分たちの理想の形の中で行ったことで、
さらに「旅人なんで・・・」「シャカイコウケン初心者なんで・・・」
みたいな言い訳?逃げ場?をどこかに持っていて
だから苦労はあれど楽しかったんだと思う。


でもこの学校に出会って、
雨期の前にあの子たちに校舎をあげたい!と思って、
「キレイ事じゃねえ、金だ、現金だ」ってなって、
初めて、お金と真正面から向き合おうと決めて
今回のプロジェクトを始めた。


そしたら、もともと否定していたお金の寄付ってなんなんだってこととこか
頑張ることの美しさとクオリティの担保とか、自分たちの中の矛盾、葛藤、
いろんなものが湧き出て混ざってぐっちゃになって、
それでこんなに悩んでしまったんだと思う。
(コメントや個別メールでたくさん心配や励ましを頂いてしまい・・・
すみません、そしてありがとう。どれだけ救われたか。)



今回お金と向き合ってみて
正直「きっちーーなぁ・・・」「厳しいなぁ・・・」って苦しかった。
これが現実。

金額という意味での結果。
正直、目標には及ばなかった。
これも現実。


でも、真っ向から向き合ったおかげで、
がむしゃらにやってみたおかげで、
やっぱり、お金「だけ」じゃない、
と改めて、強く、感じることができたこと。
それが、
今回の総括になるのかもしれない。


お金。それはそれでもっと作れるような私たちになろう。

でも。
これまで自分たちの信じてきたもの。
お金以外の価値。
やっぱ、それだって思えたし、
お金・現実を認識したうえでこれから
私たちらしく、できること、
愛とかひととか繋がるってこととかHOPEとか
そういうものを大事に
等身大でシャカイコウケンに向き合っていこう。

最終的には、そう思えた。



荷物をまとめる。


フェリックスの車の荷台に積む。
さよなら、みんな。

モザンビーク国境を目指し、まずブランタイヤへ。

車は最後に、
学校の中を通り抜けてくれた。



わあああーーーーーー!!!!!という声。声。声。

木の下からちぎれんばかりに振られる手。手。手。



車の荷台で、私は涙をこらえながら
昨日の晩、酔っ払ったフェリックスが言ってた言葉を思い出していた。


「GIFTは人を幸せにしない。
その人の存在、ありのままそこに在る姿が、
人を幸せにするんだ」


無理をしないでいい。カッコつけなくていい。
カタチにとらわれなくていい。
こんなにありあまる、この気持ち、愛があればいい。
それで笑ってくれる人がいるなら、それでいい。

よし。



そしてブランタイヤに着き、
ケンに電話し、再会し、
私は、
アンバサダーに就任した。



キラキラした人になりたくない?

上等。
お前はキラキラなんかしねえよ。
もしくはもうとっくにしてる。
どっちみち、お前はお前。
変わりはしないよ。





ぎゅうぎゅうのバスはブランタイヤを発ち、
国境へと向かった。




(MIWA)