キューバの首都、ハバナ。
昔からの街並みを残す旧市街・ハバナビエハと、
新しいビルも立ち並ぶ新市街・べダードが、街の2つの中心だ。
距離にして約10km。
新旧の街を毎日のようにアメ車乗り合いタクシーで駆け抜けた。
そんなハバナを写真でプレイバック。
趣を感じるハバナビエハ。
ひと足ふみ入れただけでその雰囲気に魅了される。
中心地は数百年の時を刻んだカラフルな建物に彩られ、
観光客をはじめあらゆる種類のひとたちがそこに集まっている。
街並みと人々を眺めながらビールとモヒートを。
無条件に気分は高揚していく。
何より好きなのは、細かく張り巡らされた裏路地だ。
街全体が世界遺産となっているが、
ここはびしびしと人々のリアルな生活が伝わってくる。
ビエハのど真ん中でも、観光客が1人もいない路地がゴマンとある。
決してキレイではないが、かといって山のように増え続けはしないゴミ。
なんだかんだ公共サービスは行き届いているのかもしれない。
これは政府の配給所だったのかもしれない。
国旗、革命家たちの肖像や革命をうたうグラフィティ。
街を1分歩けばいずれかを目にする。
この国で生きながら「革命」を意識しないでいる事は不可能だと思う。
”我々の歴史を祝おう”。ゲバラらの肖像画とともに
国旗もそこらじゅうで見かける。
街ののど真ん中にある博物館、その名も「革命博物館」。
といっても、革命はほんの50年そこら前の出来事だ。
夜になると、まったく違う印象のハバナビエハ。
まさか今東京の夜も暗いとは知らなかったけれど、
中心地でも圧倒的に、暗い。
東京とは違う文脈で(ソ連の崩壊とアメリカからの経済封鎖等による石油不足)
慢性的に少ない電力で生き抜いているのがキューバという国だ。
ときにバスで、ときにココと呼ばれるバイクタクシーで。
ルートと趣の違いを楽しみながらビエハからべダードへ移動する。
新旧市外をつなぐのが、「マレコン」と呼ばれる海岸沿いの大通り。
超一等地にも関わらず広告ゼロ、リゾートホテルはもちろんショップやレストランもほぼ無い。
そのことが、他のどの国でもなくここがキューバなのだと実感させる。
開発されずにだだっ広いだけのマレコン。くっそ暑く昼間は人通りも少ない。
この街にアメリカが進出していたら、まったく違った景色が広がっていたのだろう。
昼間唯一マレコンがひきつけるのは、涼しさと面白さを求め海に飛び込むキッズたち。
皆明るく元気ですばらしい。
会話の後には皆一様にお金を求めてくるが、
グッバイの代わりのような軽さで、そこに卑しさやは不思議と感じられなかった。
日が暮れるにしたがい次第にローカルたちを惹きつける、マレコン。
夜12時にもなれば平日でもこの様子。
数kmにわたり遊び場を求めた若者達の人だかりが続く様子は壮観だ。
1分間、誰にも話しかけられなかったら自身の人相を疑った方がいいかもしれない。
人懐っこいハバネロ(ハバナローカル)たちはあなたを放っておかないだろう。
マレコン。
ハバナを感じることのできる、最高の場所だと思う。
べダードに宿をとり、ビエハとの往復を続けた10日間。
五感を刺激するファンタスティックな街への感動とともに
少しだけ感じた違和感の正体をさぐるべく、
僕らは必死にハバナの日々を過ごしていった。