新年あけましておめでとうございます。

さて新年一発目は、
モロッコで体験した垢すりをしてもらえる公衆銭湯(?)
「ハマーム」-トルコ風呂、について書いてみようと思います。

*

タガズートから砂漠へ向かう途中、
アガディールという街で一泊した僕らは
ホテルのおっちゃんに「ベストワン」と教えられたハマームを目指した。

中心地から数km、ロンプラ地図を遥かに外れたその地区は
どのテラスカフェもおっさんであふれておりローカル臭がプンプンしている。

10人ほどに道を聞き(英語話者はゼロ)最後はエスコートまでお願いし
ホスピタリティに温められながら到着したHammam Nakhil。

さびれたスポーツジムのような佇まいの入口にカウンターがある。
入場料10ディルハム(100円)を払いつつ
垢擦りをしてもらいたい旨を何とかジェスチャーで伝えた。

どうやら垢すりはゴマージュと言うらしい、
思ったより高額だったが50ディルハム(500円)を払うと
入場レシートの裏にゴマージュと書いてくれた。
垢すりグローブと緑でぐにゅっと柔らかい石鹸という
ハマームセットも購入し準備万端。
女湯へ突入する美和に別れを告げ中に入った。

*

ドアを開けるとそこは更衣室のようだった。

プールのロッカールームのような室内には
数人パンいちの若者が明日のジョーLASTの格好で
座っているのが見える。
奥を見るとカウンターがありそこで荷物を預けるようだ。
キョロキョロしながらカウンター前で服を脱ごうとすると
ジョーの1人がパンツは脱ぐなよとジェスチャーで伝えてきた。
大丈夫、そこは雰囲気で感じてるよ、と笑顔で返し
パンいちになり荷物を預ける。

ここで重大なミスに気がつく。
不覚にも今日のパンツは唐草模様の勝負トランクス(木綿)。
しかも長旅のヘビーローテにより股間近くにいくつかの穴が。
見渡すとみんなのパンツはいかにもハマームに適した
薄手(メッシュ?)のボクサーブリーフ、トランクスは僕ひとりだ。
これがハマームパンツ、ハマパンか。。。

気を取り直しゴマージュをお願いしたい旨を伝えようと試みるが
頼みの綱の手書きゴマージュのレシートは無造作にひったくられ
意味が伝わっているか不安なまま奥のドアへ入れと促される。

よう分からんが行くしかない。
僕のハマーム初体験記、始まります。

*

中に入ると目の前にはガランした空間が広がっていた。
壁にいくつか蛇口があり、バケツが転がってる他は何も無い。
湿った空気がぴたりと肌に張り付き
一瞬で全身モイスチャーの超低温サウナのようだ。

壁近くには地べたに座って体を洗っている人がちらほら。
なるほど、バケツにお湯を汲んで確保し、
自分の場所を見つけてそこで体を洗うようだ。
そして2人だけ、自分ではなくて誰かに体を洗ってもらっている人を発見した。


(美和の女湯 再現イラスト)

周りを見渡し僕を擦ってくれる人を探す。
が、らしき人は見当たらない。
奥を見ると体を洗わずに地べたに寝っ転がっている人がいる。

さては順番待ちだな。
突っ立っているのもなんなので
適当に自分の場所を決めて同じように寝てみる。

・・・

数分待つが何も起こらない。

むくりと立ち上がり他人を擦っている人に目配せをする。
伝わっているのか微妙なままそのまま座ってろという指令が下る。

しょうがなく元の位置に座り込む。

・・・

数分待つが何も起こらない。

ヤバいこのまま放置で俺のハマーム体験が終わる、、、
と覚悟し始めたころ、ついに1人の男性が僕の所に来てくれた。

やった!と思うよりも先に僕の脳裏をめぐったのは、
ヤバい!という動物的勘だった。
巨漢の彼はスキンヘッドに口ひげのパンいち、
どう見てもプロレスラーだ。

そんな僕の恐怖をよそにたんたんと業務を進めるムトウ(命名)。
仰向けに寝かされたたかと思ったら
覆いかぶさるように緑の石鹸で全身をぬるぬる塗りたくってきた。


(負けじと僕も再現イラスト)

そのとき何故か僕は先日一緒に飲んだ
アイルランド人のおっさんの言葉を思い出していた。

「抑圧されたモロカンの性に対する執着は凄いものがある。」

もし、万が一、彼がそっち方面だったら・・・

ふらりと迷い込んできた何も分からなそうなアジアの青年。
あご髭がジョリジョリするがそれも逆にいいじゃない、
なんて思ってたら・・・・

覆いかぶさるポジションをキープしたまま垢すりは進んでいく。
思ったより激しくなくソフトな様がまた妄想に花を添えつつ。
すると、目をつぶって全てを忘れようとする僕にムトウが何か話しかけてきた。

「どうだい、これ全部君の垢だよん。きったなーい。」
とたぶん言いたいようだ。そしてウィンクだ。

ヒィィイイ!!まさかこれは●▲プレイ・・・!
いやいやいやいやいや、忘れよう。

時折ムトウの股間をさりげなくチェックし
異変が無いことを確認しては全身をソフトに擦られる。

もし彼がそっち方面だったら天国のような職場だよなあ
などと考えながら自身の股間を見ると
ディック君が唐草模様の脇から軽くぽろり。

これだからトランクスはダメなんだ!ハマパンぷりーず!
な僕に気を止めないムトウは垢だらけのグローブで顔までゴシゴシ。

そろそろ終わりという頃にもう1度仰向けになるように指令が下り
手足をバキバキやり始めた、垢すりではなくてマッサージのようだ。

ったが、プロレスラールッキンの彼によるそのマッサージは
まるで拷問、軽く間関節かけられて最後にグっとやられ、
その度にギョォっと小さな悲鳴をあげる僕。

最後は股関節を伸ばすという名目で恥ずかしい格好までさせられ、

限界を超えてタップをしても止めてもらえない
という拷問を経て、僕のハマーム初体験は、終わりました。

うん、ハマーム、最高。

<おまけ>

最初の再現イラストのシーンで、前はどうなってたかというと、
垢すりおばちゃんの手が謎に
ずっとソフトに乳を握ってくれていた

のだそうだ。