皆のおすすめのオージー料理レストランにて、宴。
(やっぱエリックはネルシャツね。アレックスはさすがに海パンじゃないのね)
まあ、あれか、娘は母が思ってるほどいい子じゃない、って話か。
その他話題は映画の話、日本の銭湯の話、デンマークのバイキングの話、etc。
関係ないけど、クスコったら誘惑多し。
無駄にリャマのぬいぐるみ(体長1m)とか欲しくなるよね。買わないけど。
この日は近所のクラフト屋で革と織物のブーツに一目惚れ。約3000円。うーん!欲しい!
でも持ち運び重いし送るのも高いだろし…最後は勇輝の
「日本帰ったら、美和はきっとはかなくなる。(ドーーーン!)」
という予言めいた一言、その迫力に負ける。
こういう↑写真を撮っていた。
それは起こった。
「シャッ!」
白い液体が飛んできた。
こちらに向かってくる男の顔が見えた気がした。
上?と思って上を向こうとする、
反射的に自分が、獣のような、ニンゲンじゃない何かに変わる。
あと横に多分1人、たぶん真後ろに1人、が
ぐんっと一歩踏み出してきて私にぎゅうーとくっついた。
一斉に何かを大声で言い出した。
「NO~~~~~~!!!!!!!!」
「今ね、今ね、」
100均で買った小さいライトは壊れていて、
道に迷っていた私たちは宿へ戻ろうと
真っ暗な路地をいったんガンジス河に出るために急いでいた。
今もし口を塞がれて路地に引き込まれたら私、ヤバいことになる。
得意の妄想が炸裂しだす。
手をつないで歩こう、と。
肩を組んできた。「ヘローアミーゴ」。
なんだよ宿の客引きか。
その、勇輝の肩の上の、奴の手が
「変だ」と思った瞬間、私の血は逆流を始めた。
すると手が角度を少し変えたかと思うと、すーっと背中に下り、
バッグのポケット(チャックが開いてる!)へ・・・・・・
「NO~~~~~~!!!!!!!!」
自分の声のでかさに腰を抜かしそうになった。
男は手をポケットに入れる直前で身をひるがえし走って逃げていった。
*
「プリミティブ」というものがあるのです。
生き物としての本能的な状態やエネルギー。
昔取材で、神戸まで内田樹教授を訪ねて行き
「痩せられない女は何がいけないと思うか」と
超くだらない質問をしたことがある。
そのとき意外にも、身体の鈍感・敏感の話になり、
武道のロジックやらを交え、結論的には
身体が鈍感な女、動きが雑な女は痩せられない、ということになった。
(あ、これじゃあまりに大雑把だな。。以下補足。
つまり、空気が乾いてるとか何だか風邪を引きそうとか、
今日食べたい物(=身体が欲している栄養分)とか、
身体のつぶさな変化をキャッチできる人、身体と会話できるような人は健康で美しい人だと。
また、そのような身体の敏感さは所作にも関係していて、
(カップを持ち上げる、などの)単純な1動作でも、普通の人よりも
動きのキメが細かくなる(身体のユニット数が多くなる、と表現された)と興味深い話をしてくださった。
で、敏感な女になるには? 武道をやるのもいいし、毎日の中に「ルーチン」をつくるといいと。
毎日同じ時間に同じ場所を通るとか、トレーニングをするとか。
天気や空気や体調の小さな変化が見える、日課を持つことだと。)
とにかくそのとき氏が強調しておられたのは、
現代日本人がいかに鈍感になっているか、だった。
(その後は、ある女性が地下鉄サリン事件の直前、列車に乗り込んだ瞬間
「なにか変」と思って乗るのをやめ、被害を免れたという話(都市伝説?)や
黒柳徹子さんがもう何十年もスクワット50回の日課を欠かしたことがない話を
伺って、インタビューは終了した。)
*
旅というのは、自分の中のプリミティブが試される場なのかもしれない。
日本は世界屈指の安全な国だけど、
安全ではない場所に行く、常識の通じないところに行く、
いろんなことが「わからない」ところに行く わけだから。
「たぶんこの人は悪い人」とか、
「この路地は、なんとなくやめたほうがいい」とか、
最終的には“情報” なんて意味がなくて
そういう 瞬間的に感じる「気」や「感覚」しか頼りになるものがない。
(一度も危ない目に合ってないので答えあわせのしようがないけど。)
とにかく、ニンゲンってすごいって思う。生き物として。
胃があって腸があって、脳のこの部分で記憶をして、耳の鼓膜が震えるから音が聞こえて・・・。
そういう、教科書で習った身体のメカニズム、じゃない話。
すんごく面白い。
毎日めちゃくちゃなリズムで生活して
毎日めちゃくちゃな物食べ続けてたのに、
身体の真ん中に大きく 鈍 って書初めが貼ってあるみたいな人間だと思ってたのに。
私のそれは、かなり危機的状況に爆発的に出現するみたいだけど。
水かけ強盗に感謝する気は、ない!!!
以上。
もののけ美和がお送りしました。
(MIWA)