3日目、朝7時。

目が覚めた。
よかった。無事だ。。。

外に出るとあたりは雪の薄めメイク。
夜中に雨が雪に変わったようだが、どうりで寒かった訳だ。。。

ちなみに目が覚めないどころか、
夜中に何度か目が覚めて逆に寒いので困ったというか笑った。
にしても人間の体ってすごい。
半端なく寒くても熱を発し続けるんだと関心。
そしてその熱を逃がさない寝袋と風から守ってくれたテントね。
道具の大切さも身をもって実感。

とまあ関心していてもしゃーないので、次の目的地を目指す。
今日のルートは

①下山(6.5km2.5時間)
②山のふもとを湖沿いに歩き山の裏側へ(16.5km7時間)

23km9.5時間。長い1日になりそうだ。

トレイルから外れた下山はかなりワイルド。
途中で何本か小川を越えるのだが橋がかかっていないため
1度下って川を渡り、また山を登るというのを繰り返す。
もちろんブッシュ掻き分け系。

1時間ほどでトレイルを発見し、ひとり静かにガッツポーズ、
その後1時間ほどでふもとまで着いた。
昨日は結局のぼりに4時間くらいかかったので良いペースだ。


前日と同じ湖を横目に進む。


トレイルの一部はビーチ沿いを歩く。


小道を抜けた先にビーチという景観は、やはりいつ見てもアガるものがある。


ちなみにテント泊じゃなかったら素敵な山小屋があなたを待っております。
ドミトリーで1泊約4,000円というぼったくり価格でお届けいたします。


またも川を越え(もちろん給水、極上。)、

丘を越え、全長23kmを終了したのは5時くらいだったろうか。

*

ご安心ください。
トラブル無しには生きられない小生はこの日も軽くやっちゃっています。

途中から雨が降り出したのでペルーで買った50円カッパを探すが、
バッグにかけておいたはずのヤツをどこかで落としてしまったようだ。

小雨だしと思い歩き続けるが雨はどんどん強くなり、
最後の1時間はいわゆるドシャ降り。
全身文字通りびしょぬれでのキャンプ場到着となった。

懸命に乾かす手段を考えるが、外は雨だし気温は低く、手が無い。
インナーだけTシャツに変え、上着をテントの中で広げてみる。

頼みのシャワーのお湯はまったく温かくなく逆に体を冷やし、
夕食のふじっこ昆布パスタに日本を想う余裕もなく、
プエルトモンで調達したシャケを忘れてる事に気づき地団駄をふみながら、
8時に就寝。
とちゅう振り続ける雨にテントの下から水が染み出し
さらに小さく丸まりながら、とにかく朝を待った。

*

4日目、最終日。8時起床。

雨はしっかり降り続けている。
広げておいた上着は奇跡的に乾いていた!はずは勿論なく、
それどころか軽く凍ってるのではというシャリシャリじっとり状態。
絶対死んでも着たくない按配。

上着はあきらめ今日は薄着で行こうと決意したが、
フリースでは振り続ける雨でまた大変な事になる、、、。
とあたりを見回すと、これまた1年以上出番がなくバッグに潜んでいたヤツを発見。

100均で買ったエマージェンシーシート!
いま緊急じゃなかったらいつ緊急!?
そうさ今こそサバイバル!!!(ゴロよくない?)

ということで銀色のこいつを全身にまといながら最終日のトレッキングへ。
今日のルートは8.9kmほど山を登り、
Torresを含むスターの山々を拝む展望台を目指すもの。
その後は同じ道で下るだけだ。あとちょい!


谷を見下ろしつつ山の斜面を少しずつ登っていく。

途中から雨が雪に変わった。
上の方はずっと雪だったのかもしれない、ホワイトメイク再び。


少しずつ深くなる雪の林の中、かなり急な道を登り続けると、


きゅうに開けた場所に到着した。
これ、霧じゃなくて、雪で曇ってる。軽く吹雪ってやつね。
すばらしかった。


上に行けば行くほど雪は深くなる。


正直に告白します。靴レンタルする気は最初ありませんでした。
が、借りて本当によかった。絶対に、ぜえったいに、ソウルつるつるスニーカーじゃ無理だった。


この日は途中からLBSでMBA中のエリート韓国人2人とご一緒した。
欧米人よりなんかリラックスして会話してる自分がいることを否めない。


そしてとおちゃく!!!


本来であれば素敵な山々が連なってるのが湖ごしに見えたはずだそうですが今日は。。。

という落胆はまったく無く、やり切った充実感に浸りつつ
しばらく雪に体をうずめる。
チョコレートと水が、死ぬほど旨かった。

そして、下山。
降りきればトレッキング終了だ。
途中から靴ずれとヒザの痛みに苦しんできたが、
あと少し。あと少しだと自身を鼓舞しながら進む。


帰り道、雪はさらに強く、


さらに激しく。


でも美しすぎる雪景色を楽しみつつ、進む。


あ、ちなみにこんなね、ボク。
同じ日程でトレックした旅人たちの話題をさらうことに大成功。マジで。
それでも超スーパー大活躍だったイマサバ(そうさ今こそサバイバル)。

*

そんなこんなで散々なもといタフな最終日を終え、


帰りのバスが来るふもとの素敵ホテルで、


素敵ラウンジでご褒美ビールとバーガーに3泊分(事実上は2泊)のキャンプ代以上を支払い、

シティボーイの4日間のトレッキングが終了した。

*

天気にも恵まれ信じられないような景色に感動した前半2日間と、
得意のツメの甘さにより自身でメイクドラマした後半2日間。

一言、最高でした。

サハラの時は、ただ見るだけでなく、
数日かけて歩くことで「砂漠を感じる」感動があったけれど、
今回は雨、風、雪、太陽、水、氷、土、岩、緑、、、。
パタゴニアという世界最高峰の大自然の迫力に「どっぷり漬かった」感覚。
感じる、という自分が主体の表現よりも、
大自然の海にとても小さな自分が漬かっているイメージがしっくりくる。

山のテント生活もすばらしかった。

最小限の道具、材料をバッグ1つにつめ、
町での生活と比べ圧倒的にモノが少ない環境で過ごす。
水があるだけで嬉しいし、あったかければ最高、
重くて辛いのが当たり前だから少し休めるだけで幸せだし、
帰りにバスに乗ったときなどこの文明の利器に敬意を覚える。

大げさに言えば、山に入り、自然に漬かり時間をすごすことで、
便利さや心地よさに慣れきった自分を
1回リセットするような感覚を味わった気がする。

トレック中、何時間も1人歩き続けながら、何度も自問していた。
「何故わざわざこんな辛い事してるのだろう?」と。
疲れも吹っ飛ぶような大自然の恵みや、
終えたときの達成感もあるけれど、
きっとこれが答えなんだろう、そう感じている。

今まではとにかく海、海だったけれど、
今回で完全に山にも惚れ込んでしまった。
とにかく織田雄二は本当に正しい。
地球に生まれて良かった。

長くなりましたが読んで頂いた方、ありがとうございます。

(終わり)