マドリードにあるieビジネススクールで行われた「Social Responsibility Forum」に参加した。世界中の各ビジネススクールにあるNet Impactというソーシャルビジネスに関するクラブ活動が主催したもので、学生中心だけど300人くらい?が参加し、世界中から結構スゴい人も招いたちょっとしたイベントだった。いまieで学んでいるベンチャー時代の後輩のアレンジで、僭越にも僕も「Tourism as driver for social change」というパネルに出させてもらった。
気づいたらNPOというかソーシャルセクターと呼ばれるところにどっぷりのこの3年。海外の事情は全く疎かったけど、世界的なトピックや状況について学びが大きかった。色々考えさせられたのでいくつか備忘録的に紹介します。
5 trends in social business by McKinsey co.
オープニングのキーノートはマッキンゼーのSocial Impactのディレクター。お題はソーシャルビジネスにおける最近のトレンドについてだった。いわく最近のトレンドは;
①パートナーシップはもう当たり前(連携それだけでは価値ではない)
②ビジネスブランドにおける市民価値の高まり(パタゴニアやベン&ジェリーの事例)
③物語を語れ(みんな企業のリリースを信じてないよ。面白いコンテンツを発信せよ)
④small is beautiful(いいね!)
⑤CSRはもう終わり(CSVという言葉は使ってなかったけど、本業直結という話)
と理解した。英語早くて全部は分からなかったけど外しては無いと思う。
カンファレンス全体でも強調されていたけど、ビジネスvsソーシャルという構図ではなく、社会的価値創造がビジネスのコアバリューになるというトレンドは間違いないと。「CSR部署は無くなって行く(各事業部が社会的価値を追求する事が当たり前になる)」という言葉が象徴的だった。
あと驚いたのが、マッキンゼーが社会課題解決に特化しNPO(Mckinsey Social Innitiative)をつくっていたこと。その最初のプロジェクトである、アメリカやスペインで若者失業問題に対して行っている「generation」の紹介があった。ざっくり言うと若者向けのトレーニング(スキル&メンタル)と、若者を雇用したい企業向けの採用コンサルを行い、ジョブマッチングを行うもの。100万のトレーニングという数値目標を立てていることや、今やってるアメリカ&スペインから今後メキシコ・インド・ケニヤにも広げ、5カ国の実績を分析・プロトタイプ化し世界中に広げて行く、といったコンサル的アプローチが印象的だった。そして何より、(どこまでか分からないけど)アドバイザリーではなく自らプロジェクトオウナーとしてやっているという事が。
Impact Investment
あと興味を持って関連パネル2つに参加したのが、Impact Investment。経済利益とともにソーシャルインパクトを同時に追求するってことで社会的責任投資ってやつかな。登壇していたのは Acumen Fund(米), Big Society Capital(英)、あと世銀の専門部隊IFCといった老舗部隊の他、ここ数年に始まった専門ファンドいくつか。それとsocial enterprise と呼ばれる企業としてサステナブル農業をうたうYaraって会社など。ちなみにBig Society は英国の休眠預金の運用先にもなっているところ。さすがビジネススクール生が興味を持ちそうなテーマで、比較的参加者が多かった。
議論の中心は結局「お金と社会価値トレードオフはどう考える?」「株主にどう説明する?」そこにフォーカスしていた。面白かったのは、どんな判断基準で、どんなフレームワークを使うのか、みたいな分かりやすい答えを求めるモデレーターと「様々な角度から分析します」的なふわっとしたパネリストの答えがすれ違ってたこと。最後に世銀IFCの人が軽くキレ気味に「ビジネスサイドも結局社会的グッドをやりたいよの!」って言ってたのが象徴的なんだけど、結局そんな分かりやすいフレームは無いってことなんだと理解した。
コストをかけて環境フレンドリーな農薬を開発してる上述のYaraについても一緒。「それがブランド力になり価格を上げても売れるようになるから」と議論の中では結論づけられてたけど、きっとそれは一面正しいんだけど、それを「ブランディング」という言葉で捉えると本質を間違うと思った。そもそも何のために企業はあるのか?利益を上げるのはあくまで手段で、目的は社会への価値提供のはずだよね?そんなシンプルなことを忘れて、お金と社会価値を並列にならべてする議論はなんか空虚だなと思った、って書いたらナイーブすぎるだろうか。
ちょっと長くなってきたので2つに分けます。 次は「Career in social sector」、僕も登壇した「tourism as a driver for social change」、参加したsocial sector 向けコンサルファームのワークショップ、あたりを書きます。