京都に拠点ができたことで、西の旅がしやすくなった。何かとご縁がある三重や和歌山、あと海の京都も山陰山陽もいい。どこも素晴らしいんだけど、最近特に惹かれてるのが奈良だ。

とある週末は奈良に行こうと決める。頼ったのは、友人で編集者の小久保よしのさん。ソトコトなどで長くローカル記事を書いてきた、つまり全国死ぬほど旅してきた彼女が選んだ移住先が、奈良だったのだ。

彼女にオススメを聞く。送られてきたリストは全て南のほう、山のほう。玄人感バリバリで笑ったのだけど、中でも目を引いた情報が2つあった。

「曽爾村(そにむら)とか天川村でマインドトレイルっていう野外アート系イベントもやってます」
「是非行って欲しいのは東吉野のオフィスキャンプ」

人から薦められてピンときたら、あまり調べないで飛び込む。これが良い旅のための基本アティテュードと信じてるわけで、行ってきましたマインドトレイル&東吉野。

旅の拠点となったのは、東吉野にあるオフィスキャンプ。こう見えて町の公民館のような場所。奈良だけでなく全国のローカルプレイヤーが慕う坂本大佑さんが、イカしたリノベと運営をしている。コワーキングやカフェ機能があり、全国から面白い人たちが集まる場所に。

当日の朝に記念撮影。左から2番目が大佑さんで、真ん中は写真家でマインドトレイルにも作品を出展している西岡潔さん。当日写真講座をオフィスキャンプでされるとのことで、面白い人が集うとはホントだった…。

曽爾(そに)、天川、吉野と3つの村が会場のマインドトレイル。運営にも関わる坂本さんから「子連れだったら」とオススメされた曽爾村に行ってきた。

マインドトレイルのサイトはこちら(残念ながらもう会期は終了😢)。越後つまりの「大地の芸術祭」のような、地域全体が美術館となる芸術祭。各会場、車でまわるというより「山を歩いて楽しむ」というのもいいなと思った。

スタート近く。こんな道を歩く全長5kmほどの工程。

紅葉で色づく山を横目に、ただただ歩く。

たまにこうした道標(という作品)があったり、

マインドトレイルとは関係なく山の中に作品があったり。

朝お会いした写真家の西岡さんの作品は、村のいたるところに設置されている「目」だった。

突如出現する目たちを、いろんな角度で写真を撮ってみる。こういう仕掛けがひとつあるだけで、散歩はぐっと意味を持つものになる。

「トレイル」という名前から、ガンガン山の中を歩くのかと思っていたけど、実は道のほとんどは舗装された道だった。(途中からなかなか前に進まなかった子供たちを動かしたのはリレーだった。マーブルチョコの空きケースをバトンにして何度も何度もよーいどん!)

実はもっとガンガンの山歩きを期待していた僕は、ちょっと物足りなさも感じていた。YAMAPが協賛するトレイルってことはトレッキングと思い込んでたから。

でも、歩きながら話していると、美和が「美しい村だね」と言ってはっとした。

暮らしの中で手当されながら残っている古い家、たくさんの庭でみのりを迎えていた果樹の木、道外れにポツンと佇む小さな神社。アーティストたちの作品も素敵だったけれど、村の日常が心に残った。これこそがマインドトレイルのタグライン「心のなかの美術館」の意味なのだろうか。

ここ数年ずっと、何においても「それは美しいか?」と自身に問いかけている。

Amazonとダイソーにお世話になって節約したお金を、美しいもののために使いたい。お金のために働くのではなく、美しいものをつくるために働きたい。オンライン化であいた時間を、美しいものを家族や仲間と共有するために使いたい。

いい旅でした、奈良の南のほう。小久保さん大佑さん皆さんありがとうございました。また遠くない未来に。