ビジネスエリートを育てるビジネススクール生に対してソーシャルセクターのキャリア、という設定に興味を持ったこのセッション。devexという会員制の求人&メディアサービスから業界?の求人状況について概要説明があった。
主に国連系や各国の外務省系三セク、NGO、PPP、企業CSR、などの求人を扱っていて、地域はアフリカや東南アジアが多く(南米は現地で人材が確保できるためインターナショナルにはあまり集めないとのこと)、2-3年のプロジェクト単位のもの多い。給料は「通常企業よりは低い」といいながらマネージャークラスで月収10,000ユーロが引き合いに出されてた。業界全体として求人倍率は非常に高く、優秀じゃないと入れないよオーラを出していた。
最近のトレンドとして強調されていたのは2つ。まずはまたもや、ビジネスとの融合。CSRやPPPの求人が増えてきていると。もう1つは、localization。なるべく現地にいる人を雇おうという意向が強いとのことで、「やりたいエリアが決まっているなら、まず現地に住んでしまえ!」というかなり乱暴なアドバイスをしていた。ありなのか?笑
全体の印象。誤解を恐れずに言えば、現場感が無いと思った。選ばれたエリート達が、崇高な意識の元で、人助けや課題解決をするお仕事の紹介。他のセッションでもそうなんだけど、現地の人、支援対象の人の顔や雰囲気が見えてこないんだよなあ。もしくは、プロジェクトのゴールに「正解を疑っていない」感じ。例えばアフリカには何十も国があって、何千何万のコミュニティがあって、求めるゴールはそれぞれ違うかもしれないのに。仕事のやりがいって職種とかだけじゃなくて、そういう所から来ると思うんだけど、その触れ幅を感じられなかった。まあ、考え過ぎだね。ひねくれててごめんなさい。
Consulting firm in social sector
なんて批判めいたことを書いてしまったけど、とっても素敵だと思った会社があった。ieスクールから生まれたベンチャーでもあるemzingo。企業や学校向けにアフリカや南米を拠点として社会課題解決プロジェクトに挑戦するリーダーシッププログラム(日本で言うとクロスフィールズの留職みたいなもの)を提供したり、NGOや社会課題解決へ挑む企業向けにコンサルをしたりする。
(emzingoの最初のスライド。設立されたのはリーマンショック直後の2008年。世界中で課題が複雑化していく中でこのビジョンを掲げた)
参加した彼らのワークショップは、ある新聞記事をケースとしたものだった。炭鉱現場における劣悪な労働環境や低賃金に関してストライキが起きているという記事で、クライアントからこれを落ち着かせたいという相談が来たら、コンサルとしてあなたはどうする?みたいな設定。
ケースを読んだ上で3つの質問が投げかけられる。①問題は何だ?そしてそれを優先付けしよう②ステークホルダーは誰?③ケースに無いけど知りたい情報は何?グループに分かれて議論の上、さすがBスクール生、どんどん手が上がり意見が発表されていき、emzingoのコンサルタントがホワイトボードに答えを整理していく。
けど、①問題の特定ひとつとっても意見が分かれる。ある人は賃金の問題だと言い、ある人は職場環境だと言う。課題の本質はそれを集約できない労働組合という人、働き手と適切なコミュニケーションをできない企業側のマネジメントだという人も。②ステークホルダーも何個も何個もあがっていった。
一通りの議論を終えて、まとめとしてホワイトボードに書かれた言葉。
・LISTEN, LISTEN, LISTEN(耳を傾け続けろ)
・GET DIRTY(現場へ降りろ)
・NOT 1 SINGLE PROBLEM(課題の優先付けはできない)
・NO SIZE FITS ALL SOLUTION(全て良しのソリューションは無い)
ビジネスと違い、社会課題解決は複雑だ。議論でまさにそれを体感した上なので一堂納得。そしてさらにこう続けた。
・IDENTIFY WHAT YOU KNOW, WHAT YOU DON`T KNOW
ほぼ全ての場合、意思決定に必要な情報は揃っていない。自分が何を知らないのかをしっかり認識することが大切だ、と。データ収集をして分析をしてアドバイスをする普通のコンサルと比較し、彼らはHuman-centerd(人にフォーカス)とAction-learning(現場でやりながら学ぶ)のアプローチを掲げている。現場に行って、様々な関係者の声に耳を傾けることの大切さを繰り返し説いていた。
(久々に学生になった気分。なんかやたら楽しかった)
って書いてたらまた長くなってしまった。もう1回切ります。続く。
次はtourismパネルでソーシャルトラベルと3.11について発表したフィードバックと、全体のまとめ。