Torres del Paine トレッキング、2日目。
①初日のルートを船着場近くまで戻り(11km3.5時間)
②別の山のふもとまで歩き(7.6km2.5時間)
③ふもとから2つの山の谷を歩く(6.5km2.5時間)、
という、25.1kmを8.5時間でいくルート。
ハイライトは③の谷、Valle de Frances。
時間は地図上のもので、これよりは多少は早く行けるのだが、
上り下りの連続なのでそれなりに時間はかかる。
ときおり場所を見つけては休みスナックで栄養補給。
ここはいいとこ見つけた。10メートルも無い森の中のビーチ。
ちなみに2日目からは最後までずっと1人行動。
たまに寂しくてタイマーで写真撮った。
湖沿いを歩くルート。
何故か昔のことをいろいろ思い出すのだがすぐ忘れ、
何度も同じことを思い出しながらひたすら歩いた。
ここの名前にもなっているTorresという山々のふもとを目指す。
雲がかかりうっすら影になっているのが逆にカッコよかった。
途中いくつか川も越える。重いので水を最小限しかもっていない僕にとっては
貴重な水分補給ポイントに。激冷たいが激うまい!!(衛星状態は知らないけど・・・)
①②約19kmを予定の3分の2の4時間で追え、森の中で長めの休憩をとる。
よいタイムでチェックポイントへたどり着いた軽い達成感を味わいつつ、
ねっころがって木々を見上げ、心地よい疲労感を全身で感じる。
そしていよいよValle de Francesを進む。
森の中の谷を山へ向かって歩く。
トレイルは結構キツ目のアップヒル、見えるのは日本の国旗じゃなくてトレイルの目印。
左右が山の谷になってるの分かるかな。
谷沿いに山を結構な急勾配で登っていくんだけど、
疲れた~と思って振り返ったときの景色がヤバい!!疲れがフっ飛ぶとはこのこと。
左右を見てもほんっと美しい。ワイルドな岩肌は美しいというより荘厳。
正面はごっつい雪山が壁になってる。
しばらく歩き別のアングルから見上げる山は、
同じ山なのにまったく別の顔をしており、また新しい感動がある。
四方どこを見渡しても見たこと無い世界が広がっていて、
一人で汗だくになりながらニヤリと笑っちゃう瞬間が何度もあった。
*
なんてしてるうちに、実はすっかりトレイルからはぐれてしまった。
あたりを見渡しても印は無いし、
かれこれ2時間ほど、どう見てもトレイルとは思えないワイルドな道を歩き続けてる。
当初はなんとかなるっしょと能天気に歩き続けてきたが、
次第に疲れで足取りが重くなるとともに、少しずつ心配になってきた。
何度か人の足跡らしきものを発見して喜んでは
見失うか動物の足跡と気づいての失望を繰り返す。
そして事態は一向に好転しないどころか、
だんだん雲がかかってきてきて、
振り返ると湖ははるか後方に遠ざかり、そして標高が上がり緑が激減、
そして日も陰り出した。
この時点で6時くらい。日の入りは8時前くらいなのでまだ時間はあるが、
引き返すには時間が足りないし何より疲れすぎて無理。
道具一式と食料を背負いながら階段状態の岩山を上り続けるのはかなりキツい。
しかも風が半端なく強い。
あとで見たらパタゴニアの強風は有名らしいのだが、
ちょっと気をゆるめたらホント吹っ飛ばされるくらいの強さだ。
テントはあるので最悪ワイルドキャンプ(キャンプ場以外の場所でのキャンプ)
もしゃーないなと前に前に進んで来たけれど、
そろそろ本格的にその可能性が出てきた。
久々にきた、シティボーイへの男子力テストに多少緊張しつつ、
何かがあの岩の先、岡の先にある事を願いながら、
とにかく無心に歩き続けた。
*
そして7時。
いまだトレイルが見つかる気配は無い、
というか登り続けてるので恐らく遠ざかってる(半分認識してたけど)。
ここでワイルドキャンプを決意。
風をかわす場所を探し、テントを張る。
こういう時1人は心細い反面シンプルに意思決定できてよい。
風だけ考えれば森まで下るのも考えたが、
なんか薄暗いし平らな場所が無かったので、
ちょうど見つけたこのブッシュ横のスペースに決断した。
日が暮れる前に急いで食事をつくり、
1年以上バッグに眠っていた虎の子のさんまの缶詰めの味わいに感謝しつつ、
日の入り直後の8時過ぎにはテントで睡眠体制に入った。
その後、環境は悪化の一途をたどる。
雨が降り出し、風は強まりテントはすさまじい音を立て続け、
標高のせいか気温も初日より更にずっと低い。
寝袋からちょっとでも頭を出すと冷蔵庫(冷凍庫?)?という程の冷気だ。
よくドラマで雪山で「寝るな!寝たら死ぬぞ!!」みたいにあるけど
まさかそんなんならないよね?目、覚めるよね??
・・・
とにかく寝よう。
そしてテントが吹き飛ばされないこと、
雨漏りしないこと、
変な動物が襲ってこないこと、
そして無事に目が覚めること、
なかば祈るように、なかば凍えながら、でも力強く体温を感じながら、
寝袋の中で丸くなり朝が来るのを待った。
(続く)