コンクリや煉瓦でできた道はところどころえぐられ水溜りができゴミが溜まり糞が落ち、細か
なトラップを仕掛けられているようで油断ができない。かといって車道はバスタクシーオート
三輪人力車、巨大な荷を積んだ台車にアイスクリームの屋台までが「避けないお前が悪い」と
いう前提で猛スピードで駆け抜け交差点に突っ込んでくる。ここが、若きバックパッカー達が
洗礼を浴びる“世界最貧困”の街カルカッタ。刺すような日差しの中そんな街をぐるぐる歩き
、長い列に並び切符を買い地下鉄に乗り、知らないエリアをぐるぐる歩きまた戻る。カフェが
まったくない。たった3時間ほどなのに身体が重く足は棒のようになり疲れ果てている。あれ
だけ注意していたのにビーサンの足には何かの糞と何かベタベタした食べ物がひっついている
。道端の水道で洗う。だめだ、もう帰ろう。ため息をつきながら、歳を取ってるなあ。と思う
。10代20代だったらよかったのに。こんなに疲れなかったのに。とぼとぼと部屋へ戻る。
翌朝、立付けの悪い扇風機の大音量を聞きながら、差し込む日差しにキラキラ舞う埃を眺めつ
つ、ベッドに腰掛けぼうっとする。背中は汗でじっとりしている。クラクションはさっきから
一瞬も鳴り止まない。今、私はカルカッタの、サダルという通りの、薄汚い一室にいる。
ああ、そうだ。「33歳の今“だからこそ”なんだ」。
髪を振り乱し時に鼻水を出しながら泣いて、脇目もふらず駆け抜けた日々、深く思い悩んでど
うしようもなくやるせない気持ちを抱いた日々、遠回りしながらも大切なものの欠片を1つづ
つ集めた日々、それらがあったからこそ、この旅で感じられるものがある。10代とはまった
く違う、20代ともかなり違うものが。
東京を離れて3ヶ月、自分の中でもやもやしていたものが、だんだんはっきり見えてきた。心
のどこか片隅にあった憂いや嫌悪、刹那的絶望感がそういえば消えている。いや、「大事なも
のとそうでないもの」がクリアになっただけだ。ど真ん中にいたのに見えなかったものが、こ
んなに離れた雑踏の中からはっきり見えるのは何故だろう。
とにかく今、大きな風を、大きなうねりを感じている。
世界中から。そして日本から。強く強く。
男たちが、内にくすぶっていた自身の信念をついに掲げ、枠組みの中であるいは外に、新しい
一歩を踏み出す音が聞こえる。女たちが、その賢い頭ではなくプリミティブな直感のもと、子
を産まん、育てんとする激しい鼓動、血液の音が聞こえる。智恵ある多くの友たちが、シンプ
ルかつ大胆な発想で、自身を縛っていた価値観という境界線を軽やかに蹴って飛び立つ音が聞
こえる。
なんだろう。日本で、世界中で、皆が、自覚の有無はあれど、この世に生を受けた自分なりの
使命を果たしにかかっているのではないか。何か自分の信じる「大事なもの」を世に残そうと
しているのではないか。
そういう風じゃないのか?この風は。
未来は変えられるのだと、私たちの手の中にあるのだと、そういう希望に満ちた風が、この地
球に今強く吹いている。
最後に、今もがいてるあの人へ伝えたい。
君よ。どうか恐れるなかれ。大胆に一歩を踏み出せ。殻を突き破れ。君を今縛っているものは
大したものじゃないよ。一度心をしんとさせて風を感じて。感じられたら、もう振り向いちゃ
だめだ。そこから飛ぶんだ。自分に対して胸を張れるリアルなストーリーを今日から創るんだ
。大丈夫。ちゃんと見てるよ。

コンクリや煉瓦でできた道はところどころえぐられ水溜りができゴミが溜まり糞が
落ち、細かなトラップを仕掛けられているようで油断ができない。かといって車道は
バスタクシーオート三輪人力車、巨大な荷を積んだ台車にアイスクリームの屋台
までが「避けないお前が悪い」という前提で猛スピードで駆け抜け交差点に
突っ込んでくる。ここが、若きバックパッカー達が洗礼を浴びる“世界最貧困”の街
カルカッタ。刺すような日差しの中そんな街をぐるぐる歩き、長い列に並び切符を
買い地下鉄に乗り、知らないエリアをぐるぐる歩きまた戻る。カフェがまったくない。
たった3時間ほどなのに身体が重く足は棒のようになり疲れ果てている。あれだけ
注意していたのにビーサンの足には何かの糞と何かベタベタした食べ物がひっつ
いている。道端の水道で洗う。だめだ、もう帰ろう。
ため息をつきながら、歳を取ってるなあ。と思う。10代20代だったらよかったのに。
こんなに疲れなかったのに。とぼとぼと部屋へ戻る。
IMG_0160_rs

翌朝、立付けの悪い扇風機の大音量を聞きながら、差し込む日差しにキラキラ舞う
埃を眺めつつ、ベッドに腰掛けぼうっとする。背中は汗でじっとりしている。
クラクションはさっきから一瞬も鳴り止まない。今、私はカルカッタの、サダルという
通りの、薄汚い一室にいる。

ああ、そうだ。もっと若ければよかった、じゃない。今でよかった。
33歳の今“だからこそ”なんだ。

髪を振り乱し時に鼻水を出しながら泣いて、脇目もふらず駆け抜けた日々、
深く思い悩んでどうしようもなくやるせない気持ちを抱いた日々、遠回りしながらも
運命的な多くの出会いを通じて大切なものの欠片を1つづつ集めた日々、
それらがあったからこそ、この旅で感じられるものがある。
10代とはまったく違う、20代ともかなり違うものが。

東京を離れて3ヶ月、自分の中でもやもやしていたものが、だんだんはっきり
見えてきた。心のどこか片隅にあった憂いや嫌悪、刹那的絶望感がそういえば
消えている。いや、「大事なものとそうでないもの」がクリアになっただけだ。
ど真ん中にいたのに見えなかったものが、こんなに離れた雑踏の中から
見えるのは何故だろう。

とにかく今、大きな風を、大きなうねりを感じている。世界中から。そして日本から。
強く強く。

男たちが、内にくすぶっていた自身の信念をついに掲げ、枠組みの中で
あるいは外に、新しい一歩を踏み出す音が聞こえる。女たちが、その賢い頭では
なくプリミティブな直感のもと、子を産まん、育てんとする激しい鼓動、血液の音が
聞こえる。智恵ある多くの友たちが、シンプルかつ大胆な発想で、自身を縛っていた
価値観という境界線を軽やかに蹴って飛び立つ音が聞こえる。

なんだろう。日本で、世界中で、皆が、自覚の有無はあれど、
この世に生を受けた自分なりの使命を果たしにかかっているのではないか。
何か自分の信じる「大事なもの」を世に残そうとしているのではないか。
そういう風じゃないのか?この風は。
未来は変えられるのだと、私たちの手の中にあるのだと、そういう
希望に満ちた風が、この地球に今強く吹いている。

(MIWA)

最後に、今もがいてるあの人へ。
君よ。どうか恐れるなかれ。大胆に一歩を踏み出せ。殻を突き破れ。君を今縛っているものは大したものじゃないよ。一度心をしんとさせて風を感じて。感じられたら、もう振り向いちゃだめだ。そこから飛ぶんだ。自分に対して胸を張れるリアルなストーリーを今日から創るんだ。大丈夫。ちゃんと見てるよ。