4日目。
今日は朝から大忙しの一日だ。
午前中は各チームまた現場に入り調整を続け、
午後はプラモドの小学校「RISE-UP」で授業が始まる。
さらに夜はラジェッシュたちとディナーの約束もしてある。
今日の朝食は近くの食堂で。
南インド料理である「ドーサ」というクレープのようなパン
(結局カレーを巻いて食べるのだが)をほうばった後、
今日授業をするウメのためにみんなで準備を手伝った。
子供達の名札を折り紙で作ってあげたいと思いついたのだそうだ。
なんともほっこりする心地よい時が流れていた。
(大の大人が7人で仲良く折り紙、の図)
朝食を終え、
午後にRISE-UPで集合、とだけ決めて各人持ち場へ散って行った。
Aチームはフェスティバルを行う村へ再び。
決めなければいけない事が多いこのチームには、美和について行ってもらった。
たまりにたまった旅の疲れでキューバあたりから限界を迎えていた美和だが、
休んでもいいと僕が言っても気になるらしく無理して動き回ってしまう。
有り難いが夫としては少し心配。
複雑な心境ながら、一言「頼んだ」と送り出す。
少し時間に余裕ができた僕は、ふぅと一息はいて色々考える。
いやはや素晴らしいメンバーに恵まれた。
勢いのあるキョウと、優しさあふれるタク、
ほのぼのさせる天然スミに、アイデア豊富で頑張りやのウメ。
それに気遣いの天才ケンゴ。
あっという間に打ち解けて、絶妙のバランスでみんなが協力しだした。
チーム分けについても最初不安があったが、ふたを開けたらいい感じだ。
これまでみんなに主体性を持ってやってもらうことに注力してきたが、
後半はそれに加え、結果をカタチとして残すことが大切だ。
僕と美和ではなく、参加者のプロジェクトとしてどうやって結果を出すかか。
全体と個別のコミュニケーションだな。
丁寧にやろう。
なんて考えていると、昼ごろ難しい顔をした美和が帰って来た。
どうだった?と快活に聞いてみるがしかめっ面が収まらない。
「相談がある」と言う。
(美和が撮ってきた写真。みんな随分村に打ち解けて来たようだが。。。)
「ウメ・スミ・ケンゴと4人で村に行ってきた。
ケンゴはまだ体調悪くフラフラになりながら
色々考えて一生懸命質問したりしてたけど、
女の子2人は子ども達に囲まれてずーっとキャーキャーやってるだけ。
フェスは4日後で、確認しなきゃいけないことがいっぱいあるのに。
私はカイラシュや学校の先生やソーイングセンターの女性達に
色々聞いてたんだけど、なんであたしがやってるんだろうとか思い始めちゃって、
気づいたらイライラオーラが出てたんだと思う、
私のそばには1人も子どもはいなかった。
ウメもスミも、村はまだ2回目だし、子供達とたくさん遊ばせてあげたい。
それはいいことだと思う。でもこのままじゃ彼女たちのプロジェクトじゃなくなっちゃう。
2人になんとか「自分のプロジェクト」って思ってもらいたいのに、
何て伝えればいいのか分からなくて、どうしたらいいか分からなくて。。。」
なるほど。。。
お疲れありがとう、とりあえずはゆっくり休むといい。
2人とも、自分の持てるキャパの100%を出して精一杯やっているはずだが、
同時にやらなきゃいけないことが山積みなのは美和の言う通り間違いない。
どうするか。少しテコ入れが必要かもしれない。
といっても時は待ってくれない。
13時、RISE-UPへ集合し、いよいよ授業が始まった。
トップバッターのケンゴは、新聞紙とガムテープだけで
できるだけ重いものに耐えられる椅子をつくるというグループワーク、
そして続くウメが似顔絵を書き合うという授業を実施する。
相手は子どもとはいえ、大勢を前に英語で授業するのはさすがにハードルが高く、
ケンゴはあきらかに緊張赤面だったが、
逆に英語が苦手なはずのウメは意外に堂々とこなしていた。
子どもが大好きなんだなあと伝わってくる。
(ケンゴの授業。グループで知恵を競う。生き生きしたいい表情が見られた)
(ウメの似顔絵の授業。君の友達は…そんな顔?っていうかこれ人間じゃないし!
爆笑の作品も多かったが、美大生のウメはアートを感じたらしくめっちゃ感動していた)
あっという間に各40分の授業時間は終了し、
しっかり振り返ったりする暇もなく町に戻る。
16時からラジェッシュ達とともに
マーケットへ買い物に行って食材を調達し、
カピルの家で料理&ディナーという約束があったのだ。
過密スケジュールに疲れがたまっていた女子2人と病み上がりケンゴ、
美和は宿で留守番となり、結局タク&キョウと3人で出かけた。
(皆さんからお預かりしたカメラは彼らにも寄贈、
めっちゃ喜んでその後写真撮りまくってた!ありがとうございました!)
マーケットでチキンと野菜を調達する。
マラウイ、イエメンで活動してきた国境なきタクは興味深々の様子。
僕は大好物のオクラがあったのが嬉しかった。
この旅行中、あらゆる町や村でマーケットを見るようにしてきた。
現地の生活の雰囲気を知れる一番の場所の1つだと思う。
ここブッダガヤのマーケットは、1つの場所に集合するタイプではなく
メイン通りの脇でおばちゃんたちが座り込んで売っている形なのだが、
やっぱり僕のお気に入りの場所の1つだった。
買い物を終え、カピルの家へ向かう。カイラシュ宅と違い共有スペースが
あまり無いのか、通されたのは針金がむき出しのやや危険な屋上だった。
そこで皆で野菜の皮を剥き下ごしらえし、下にいるカピルの家族へ
食材をお渡しする。屋上に台所はないので手を洗うこともできないが、
たくましい2人の青年は気にする事無くニンニクの皮を剥き続けていた。
次第に日が暮れ村全体が暗闇に包まれた頃、カレーが運ばれて来た。
意味不明の明かりを囲みながら食べるカレーは格別だった。
オクラのカレー風煮込みがたまらなく旨いが、カピル家のスパイス配合は、
僕らにはちょっとスパイシー過ぎるものだった。
ずっと軽いバカ話を続けていたが、途中から近所に住むという公立の先生が遊びに来た。
ラジェッシュたちが「何かあったら相談する」というメンター的存在の彼に、
これから作ろうとしている青空学校の先生選びについて相談した。
公立の学校の給与は、僕らの予算の10倍以上の3万円程度~だそう。
大学出の教員にこだわりたいが、月給3000円でいい人をちゃんと探せるか、
ここが勝負になりそうだ。
宴を終えて宿に着いたのはまだ10時くらいだったが、
皆はもう疲れて寝ているようだった。
ビールを呑みたいところではあったが、さすがに止めにして床についた。
(続く)