(随分昔の事ですがイラン回顧記事です)

イスファハンのとある夜、
W杯ブラジルvs北朝鮮を見ていた時のこと。

気合いの入った表情で入場してきた北朝鮮の選手を見て
横で美和が呟いた、「人民に罪はない」。
政治不安や無断映像放映事件などで
北朝鮮出場させていいの?的論調もあったが、
出場ばかりかブラジル相手に立派な試合をした彼らに
ちょっとアツくなったことを思い出す。

2週間旅をして、その人々の温かさに感銘を受けた国、イラン。
他の国ではどのようにして
観光客に見られないかを考えていたが
この国では進んで観光客ルッキングを試みた
といえば伝わるだろうか。

 

 

アザディ広場の警備員と

アザディ広場の警備員、帽子貸してくれた

 

 

街の雑貨屋のおっさんと話してると通りすがりのおっさんが急遽参加してきた

 

 

話しかけたら取り囲まれてもみくちゃになったキッズたち

 

 

店でW杯のテレビ見せてくれたり服探しを手伝ってくれたカーペット屋の兄ちゃんの顔は大きかった

しかしここは、北朝鮮やイラクと並んで「悪の枢軸」と称され、
最近では国連安保理による制裁措置が取られた国でもある。

このギャップには戸惑うところもあったが
多くのイラン人とのふれあいを経て
帰国の際にはストンと落ちる納得感があった。
乱暴な表現だが,「政治と民は別物だ」
という感覚を持つようになったからだ。

ちょうど前回の大統領選から1年の節目の時に滞在していたせいもあり
彼らとの会話のトピックは自然と政治に関する物が多くなった。

多くの人は現政権に批判的な意見を口にした。
昨年の選挙は本当は負けていたのに票操作があった、
それに抗議した民衆が警察に殺されまくって
選挙直後はかなり物々しい状態だった、
首相任期の3年後以降に国が変わるのを期待している、と。

初めて会った旅行者にいきなり話し出したかと思うと
警察らしき人が近くにいると急に声をひそめる。
ジャーナリストという名刺を持っているだけで、
改革派のポスターを車につんでいるだけで、
牢屋に入れられてしまう国の現実がそこにはある。
メディアが伝え(られ)ない、
で市民みんなが知っている、イランの現状。
旅行者目線の少しだけだが触れる事ができた。

 

 

この国の全てに影響を与えるイスラム教。テヘラン南部の古都レイのモスクにて歌を歌う人々。

 

 

戒律によりアルコホルは一切禁止。ノンアルコールのイスラミックビールが老若男女に大人気。

 

 

戦争の歴史も長い。ミリタリー博物館にて。

 

 

戦死者の写真と遺品。イマームホメイニ氏からの表彰とともに。

意見は人それぞれだし、
都市と田舎、貧富などの情報格差もある。
たまにとんでもない間違った意見を言う人もいる。
でも。でも、イランという国の民は、
メディアによって伝えられている政治(や警察)
を代表している訳でも、
必ずしもフォローしている訳でもない。
これだけは強く信じられる僕にとっての真実だった。

これは勿論イランに限った話しではない。
アフリカ各国のWikipediaをチェックする度に、
近年独立し民主主義が確立されたばかりの国々では、
内戦や国民と警察との大規模な衝突が
つい数年前に起きている事実にぶちあたる。
「xxって怖い国だねえ」とか僕らが言っている間に
人民達は戦ってるんだ、
自由や人権を勝ち取ってるんだ、
そんな事をより肌身で感じるようになった。

 

 

愛すべきイランの街の市民達。広場の片隅でだれてるじーちゃん達も、

 

 

かわいすぎる車・バイク修理のおじちゃんも、

 

 

サンドウィッチ売りのおっちゃんも、

 

 

通った食堂の超やさしいご夫婦も、

 

 

ストリートのスケボーボーイズも、

 

 

鍋づくりの職人も、

 

 

カーペット屋の兄ちゃん達も、みんな(きっと)戦っている

 

そういえばネパールでの話。
トレッキングガイドのバラットさんに
マオイストについて色々聞いた事を思い出す。

マオイストはネパール政権に対抗する
反政府武装組織(共産党毛沢東主義派)。
僕らもちょうど滞在中にバンダ(強制スト)にでくわし
被害を被ったが、彼らはバンダをはじめとして
様々な反政府運動を行っている。
それまで話した人々や日本を含む海外メディアは
総じて「マオイストは危険なテロリスト」論調、
というか外務省のサイトでは明確に「テロ」と断言している。
(→今はその表記は無くなっていた2011.3.25追記)
僕も「なんてひどい奴らがいるんだ!」そう思っていた。

すると彼は、中立的で立場で
現行政府がいかに腐敗しているか、
インドの言いなりになっているのか、
メディアがコントロールされているのか、
地方の村々でどのような警察による虐待がされているのか、
メディアの伝えない話をしてくれた。

政府が官軍なら確かにテロリストだが
人民の権利を勝ち取るために戦っているヒーロー
という見方もある、と。

僕は何が正しいのかを判断はできないし
どうあれ人に危害を加えている以上
(といっても被害者の大半は市民に暴行を
加えていた警察だとのこと)
マオイストにも問題は間違いなくあるだろう。

ただ、マオイストがかなりの票を獲得している事、
支持する人達が増え続けている事は事実。
地に足をつけ、その事実の裏にある真実を
見ようとする姿勢は持ち続けなければと強く感じた。

 

 

2日間、2人きり。歩きながらずっと話をしてくれた。

深い国、イラン。多くを学ばせてもらった。
今回は2週間で帰ることになったが、
またきっと戻ってこよう。

また、彼ら彼女らの笑顔に会いに こよう。

 

 

若き力よシオセポールのふもとでまた会おう

 

 

モルテザ日本語頑張れよ!

 

 

サイードさん、ナコさん、ディーナちゃんラーナちゃん!次は果樹園イキたいです。

 

 

ホセインさん、ファザネ、ファティマ、マエデ~、優しさをありがとう。心から。