旅に出る前、何処へ行こうかと色々想像を膨らませた。
合コンもそうだが、この事前妄想はある意味一番楽しいかもしれない。
旅の雑誌や写真集、エッセイを購入し、
すばらしい文章や写真たちを眺めては興奮し、
その場に行った自分たちを想像し。

あの景色をこの目で見てみたい。
あそこで吸う空気はどんなだろう?
あの人の目は何を見つめているのだろう??

こうして僕らは、何年も前から少しずつ、
世界一周旅行に近づいていった気もする。

そんな中、ウユニほど僕の、
想像に必要な脳のどこかを刺激した場所は、無い。

空と地面の境界線がない、
青と白の異次元の世界。
世界中のいろんな写真を見たけれど、
ウユニは別格だった。
はっきり行って意味不明。
なぜそうなるのかも、何がどうなっているのかも、
そしてこの地に立った時どう感じるのかも。

僕らはついに、その地に立った。
夢にまで見た、青と白の異次元空間に。

最初、4×4が塩湖に突入した時。
前後左右に真っ白の世界が広がったその時。
その瞬間の感覚は言葉にならない。
僕らはただただウォーだかグォーだか言葉にならない声を発し続け、
でも何故だか分からない笑みが顔全体に広がっていた。

想像を超えた世界。
いや、これは想像「できない 」世界だ。

どんなにすばらしい写真も文章も、
この世界を表現し伝えることは、できない。
断言できる。
その地に立った感覚、
そして感動やその時頭に浮かんだ何か。

その場に立つと、
5感(6感?)が総動員され、新たな「世界」が創られる。

宮古島で珊瑚の浅瀬の外に広がったdeep blue、
ナミビアやサハラの砂漠で経験した果ての無い無の世界、
インドカルカッタで突きつけられた壮絶なリアリティ。
思い出すとき頭に蘇るのは、
景色だけでなく臭いや温度、感情を持った「世界」。

そして今回、ウユニの異次元空間が、
薄っぺらいgoogle earthのビジュアルではなく、
ひとつの「世界」として自身の中に新たに創られた。

新たな世界を蓄積していく喜び。
それがどれだけ実利のある事だかわからないけど、
ひとつ言えるのは、最高にキモチいいという事。

だから僕は、旅が好きなんだな。